北海道大樹町の新射場「LC1」、主要工事が完了 民間による管理・運営も開始
イメージ 北海道大樹町は2026年10月14日、商業宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」に整備してきた新射場「Launch Complex 1(LC1)」について、町が担当する主要工事が完了したと発表した。同日には披露式典も開かれた。LC1は小型衛星を搭載したロケットの打ち上げを想定した射場で、2026年度中の完成を目指している。町が担う施設整備が一段落し、民間事業者による利用開始に向けた準備が本格化する段階に入ったと見られる。
LC1は2022年に着工した。大樹町によれば、自治体が整備した公共射場としては国内初となる。施設は機体の最終組み立てを行う組立棟、推進剤を充填する推進剤プラント設備、射点設備、燃焼ガスを安全に排出する煙道などで構成される。今回完了したのは、このうち町が整備を担当する部分の主要工事である。ロケット固有の設備は利用事業者が整備する仕組みで、最初の利用事業者には小型衛星打ち上げロケット「ZERO(ゼロ)」を開発するインターステラテクノロジズ(IST)が選ばれた。町は2024年12月に打ち上げ事業者から情報提供を募るRFIを実施し、応じた9社のうち同社を「最も計画の確度が高い事業者」と評価して、2025年6月に基本合意書を締結している。
運営面では、施設の所有は町に残したまま、民間に維持管理と運営を任せる「コンセッション方式」が採られた。運営権者のSPACE COTANは2026年10月1日から、LC1に加えて滑走路、格納庫、宇宙交流センター「SORA」の運営を始めており、事業期間は2041年9月30日までの15年間である。自治体が施設を所有し、民間が運用の責任を担うこの枠組みは、射場を複数の事業者が使う共用インフラとして維持していくうえで一つの形を示すものと考えられる。
この出来事の意味は、射場が特定のロケットのために造られる設備から、複数の事業者が利用する地上インフラへと位置づけを移しつつある点にあると考えられる。町はHOSPO全体の拡充によって打ち上げの高頻度化を目指しており、実現すれば、射点周辺の機械設備や推進剤の供給に関わる配管・弁、地上支援の架台や治具、組立棟の設備などへの需要が、利用事業者の数に応じて継続的に生まれる可能性がある。元記事では個別の調達情報は示されておらず、これは施設の構成と運営方式からの推測である。
製造業の立場から見ると、関わりうる余地はロケット本体よりも地上設備の側にあると考えられる。推進剤を扱う設備は一般に高い耐圧性や気密性、材料の信頼性が求められる分野であり、精密加工や溶接、品質管理の実績が生きる可能性がある。LC1は町と事業者の役割分担が明確なため、どの設備がどの主体の発注に当たるかを早い段階で把握しておくことが、参入の第一歩になるだろう。北海道の地域企業にとっては、地元の「宇宙のまちづくり」と結びつけて受注機会を探る道もある。
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出典:sorae



