UchUchU
sorae #月

NASA「アルテミスIII」ミッションのSLSコアステージにエンジンを取り付ける作業が開始

イメージ

NASAのアルテミスIIIミッション向けの大型ロケット「SLS」に、スペースシャトル時代から回収・保管されていたRS-25エンジンを取り付ける作業が、ケネディ宇宙センターで2026年8月に開始された。このミッションは当初、2027年に有人月面着陸を実施する予定だったが、技術検証の段階へと計画が変更されており、月着陸船とのドッキング試験と軌道上での複数機体間の連携実証が主要な目的となっている。

アルテミスIIIに搭載される4基のRS-25エンジンはすべてスペースシャトル時代の飛行実績を持つ機体で、完全な新規製造ではない。例えば、1998年にスペースシャトル「ディスカバリー」で飛行したエンジンも含まれており、その同じ機体は2009年の別のミッション「アトランティス」にも使用されている。スペースシャトルの退役から15年以上が経過する中で、これらのエンジンを整備し、新たなミッションに再搭載する判断は、NASAが既存資産の有効活用と財政効率性を重視する方針の表れだと考えられる。SLSのような超大型有人ロケットの開発と運用には莫大な投資が必要であり、過去の飛行実績のあるコンポーネントを活用することで、開発リスクを低減させるとともに信頼性を高める戦略として機能している。

アルテミスIIIが計画変更された背景には、有人月面着陸という極度に複雑なミッションを複数段階に分割し、個別に技術検証する方針がある。2026年2月のNASA発表により、有人月面着陸は2028年の「アルテミスIV」へ先送りされることが決定された。その代わり、アルテミスIIIは地球低軌道という相対的に安全な環境で、民間企業が開発する月着陸船とのドッキング、乗り降り、そして両機体間の分離・再ドッキングといった一連の技術を実証する役割を担うことになった。このミッションではBlue OriginとSpaceXという異なる企業による2種類の月着陸船が使用され、それぞれとオリオン宇宙船との連携操作が段階的にテストされる予定である。ミッション全体は約2週間かけて実施され、打ち上げや軌道上での状況に応じてスケジュールが柔軟に調整されるという運用方針も明かされている。

VABではエンジン取り付けと並行して、固体燃料ロケットブースターの組み立てが進行中であり、オリオン宇宙船のモジュール統合作業も実施されている。クルーはNASAとESAから4名が選抜され、すでに訓練が本格化している。これらのすべての要素が2027年の打ち上げに向けて同時並行で進められていることから、アルテミス計画全体は明確なマイルストーンに向けて着実に進行中だと言える。

日本の部品・装置・素材メーカーにとって、このような大規模で複数年にわたるロケット開発プログラムは、国際的なサプライチェーンの重要な構成要素となる可能性を秘めている。ドッキング機構や推進系統の精密部品、断熱材やシール材といった宇宙機器向けの高度な素材は、米国主導の宇宙開発企業の下請け構造に組み込まれることが想定される。アルテミス計画の段階的な拡張と継続的な技術実証は、国際宇宙産業での日本企業のプレゼンス拡大に向けた契機となるだろう。

※ 内容の紹介はここまでです。続きは元記事をご覧ください。

出典:sorae

この分野の企業を探していますか?

UchUchUは宇宙産業に関わる日本企業をデータベース化しています。参入検討・取引先探索にお使いください。