アークエッジ・スペース、自社開発OBCの軌道上実証に成功 ソフトウェアの全面書き換えも
イメージ 衛星の「頭脳」にあたるオンボードコンピューター(OBC)の内製化に成功したアークエッジ・スペースの発表は、宇宙産業のサプライチェーン戦略が転換期を迎えていることを示しており、部品・装置メーカーにとって新たな受託製造の機会を意味している。同社は昨年6月に打上げた超小型衛星AE2aでOBCの軌道上実証を進めてきたが、今年9月、すべての検証目標を達成したと明かした。
衛星の開発・運用において、OBCは機器制御やコマンド処理、状態データ管理を担う中枢装置であり、衛星全体の信頼性を左右する重要コンポーネントだ。これまでアークエッジ・スペースは外部からOBCを調達していたが、複数の衛星を手がけるようになる中で、部品供給の安定性とコスト構造の課題に直面したと考えられる。その打開策として採用したのが内製化であり、同時に注目すべきなのが「車載グレード品」の採用という部品戦略である。元記事では、この選択が「品質と供給体制が確立された」環境を作ると述べている。宇宙機器は信頼性が厳しく求められる一方で、調達可能性も同等に重要だという認識があらわれている。
1年以上の運用データも実証の肝となった。AE2aは軌道上でOBCに起因する異常リセットが発生せず、検出されたメモリエラーはすべて自動訂正可能な範囲にとどまった。発熱による問題も確認されなかった。このような地道な検証を通じて、開発チームは次のステップへ踏み出した。地上からのソフトウェアアップリンクだけでフライトソフトウェアの全面書き換えに成功したことで、軌道上での再プログラミングが可能になる。これは打上げ後に機能追加や不具合修正ができることを意味し、新機能を宇宙環境で試験してから次世代衛星に反映させるサイクルの高速化につながる。
今後、アークエッジ・スペースは自社OBCを衛星バスのメインコンピューターとするとともに、姿勢・軌道制御用コンピューターなど他の搭載システムへの展開も進める方針だ。これは同社が複数機の衛星を継続的に製造する見込みを前提にした判断であり、サプライチェーンの安定化と製造効率向上を一体で実現する戦略といえる。日本の部品メーカー・装置メーカーにとっては、宇宙機器メーカーが調達先の多様化と国内調達の重要性をあらためて認識している状況が示唆されている。車載グレード品の採用という選択は、既存の車載部品サプライヤーが宇宙産業への参入を検討する際のハードルが従来の「宇宙グレード品」ほど高くない可能性を示唆している。
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出典:Space Media



