UchUchU
sorae #宇宙科学

旭丘高校天文部、スペースバルーン「3号機」で成層圏からデータのリアルタイム送受信に挑戦

高度3万メートルの成層圏を飛行する気球と地上との間でデータをリアルタイムに送受信する無線通信技術の確立に、高校生が挑む。愛知県立旭丘高校天文部のスペースバルーン「3号機」プロジェクトは、2026年9月から10月にかけて打ち上げられる予定であり、これまでのデータ回収方式から根本的に異なるアプローチを取ろうとしている。

これまで1号機(2024年10月)と2号機(2026年3月)では、成層圏で撮影した映像や観測したデータを機体内部に記録し、気球の回収時にそれらを確認していた。機体の位置情報を取得するための通信機器は搭載されていたが、撮影映像や観測データをその場でリアルタイムに地上へ送信する仕組みはなかったのである。3号機ではこれを実現すべく、まずは文字データと画像データのリアルタイム送受信を目標に開発を進めており、将来的には映像配信にも挑戦したいと述べている。極限環境である成層圏から安定した通信を実現することは、地上での通常の開発では想定しない多くの課題を含んでいるはずであり、この試みの成功は、単なる観測技術の向上にとどまらない。

宇宙開発において通信は、人工衛星やロケット、探査機を支える根幹的な技術である。成層圏という「宇宙の入り口」から地上へ安定した双方向通信を実現する試みは、高校生による活動としても特筆される意欲的な取り組みといえる。この技術確立は、将来の衛星システム開発に必要な実証データやノウハウを蓄積することにつながり、日本国内の宇宙開発技術基盤の裾野拡大を示唆している。同部は最終的には人工衛星の打ち上げを目指しており、数世代に渡ってその技術とノウハウを積み重ねる構想を持っているという。

日本の部品・装置メーカーにとって、こうしたプロジェクトは注視の価値がある。高高度気球システムに搭載される無線通信機器や計測センサーといった部品・装置の実使用条件を明確にする機会となるからである。スペースバルーンプロジェクトで直面する技術的な課題と解決策の蓄積は、将来的に本格的な衛星開発や宇宙システムの実装段階で、部品メーカーが事前に予見して設計できる指標となり得る。地上での限定的な環境試験では検証できない、実際の成層圏での動作条件を得ることで、より信頼性の高い部品・システム開発の基盤が形成されるのである。

こうした地道だが息長い開発活動の蓄積は、将来的に日本の民間・学生による衛星開発が本格化する際の重要な足がかりとなる可能性がある。一つの高校プロジェクトに見えるかもしれないが、その背景には日本の宇宙産業全体の技術継承と人材育成という側面がある。スペースバルーンで確立された技術や課題解決の方法論は、やがて衛星開発へと引き継がれ、日本の宇宙産業の裾野を確実に広げる基盤となるのである。

※ 内容の紹介はここまでです。続きは元記事をご覧ください。

出典:sorae

この分野の企業を探していますか?

UchUchUは宇宙産業に関わる日本企業をデータベース化しています。参入検討・取引先探索にお使いください。