スペースワンが「カイロス」3号機の飛行中断について原因究明結果を報告
イメージ スペースワンのカイロスロケット3号機は2026年3月の打ち上げから68秒後に自律飛行安全システムが作動し、飛行中断に至った。原因究明の結果、ロケット機体に蓄積した静電気に起因する通信異常が、システムの安全判断をもたらしたことが判明している。
カイロスは全長約18メートルの4段式ロケットで、固体ロケット3段と液体推進系のキックステージから構成される。3号機には超小型衛星1機とキューブサット4機、計約70キログラム規模の衛星ペイロードを搭載して打ち上げられたが、軌道投入に至らなかった。この飛行中断は2024年3月の1号機、同年12月の2号機に続く3度目の失敗となり、プログラムの信頼性課題が顕著になっている状況といえる。
飛行中断の直接的な原因は、自律飛行安全システムを構成する2系統のうち1つで発生した通信異常だった。飛行安全を統括する機器と、1段目に搭載されて火薬点火を担う飛行中断機器の間で通信が途絶したのだ。スペースワンの調査によれば、ロケット機体に蓄積した静電気が通信線に電気ノイズとして混入し、通信ソフトウェアをリセットさせたと考えられている。実際に試験を進めたところ、通信経路に静電気を印加することで飛行中断機器の通信機能がリセットし、通信が途絶する現象が確認されたという。
対策は複層構造で進められる。静電気の除去、機器のノイズ耐性強化、リセット機能の修正といった個別の技術改善に加えて、自律飛行安全システムだけでなく全機体の電気機器に対して対策が水平展開される。次の4号機ではこれら改善の確認・検証に加えて、開発段階で未実証だった項目も含めた総合的な確認が実施される予定である。
この事象は、ロケットのような極限環境で動作する機器システムの信頼性確保がいかに困難であるかを示している。飛行中断という最後の砦としてのシステムが本来の機能を保つための冗長性や耐性確保は、システム経路全体で統一された基準が必要であり、部品メーカーから統合メーカーまでのサプライチェーン全体が高い水準を共有しなければならない。特に静電気という一見単純に思える要因が、複雑な電気系統全体の挙動を左右することは、日本の精密機器・部品メーカーにとっても重要な示唆となるだろう。固体ロケットと液体推進系という異なる技術体系を組み合わせるような場面では、各要素の個別の信頼性だけでなく、要素間の相互作用まで含めた検証が必須であることが今回改めて確認されたといえる。
※ 内容の紹介はここまでです。続きは元記事をご覧ください。
出典:sorae




