土星へ1万基の超小型衛星?NASA、18件の革新的宇宙技術に資金供給
NASAが革新的宇宙技術18件を選定し、各プロジェクトに開発資金を配分した。選ばれた技術は、月の地下空洞を探査するロボット、系外惑星表面の撮像、土星の輪に10,000個の超小型衛星を投入する構想など、現在の宇宙技術では実現できない「変革的な」手法を提案している。
NASAが資金提供する「革新的先端概念プログラム(NIAC)」は、従来の技術の延長線ではなく、大きな跳躍を必要とする将来の宇宙探査を想定した研究を育成することを目的としている。Phase Iの選定18プロジェクトには総3.2百万ドル、各プロジェクトに最大17.5万ドルが配分され、9カ月かけて技術の実現可能性を検証する。これらの研究は実際のミッションではなく、月への長期基地建設を目指すアルテミス計画などの将来計画に組み込める可能性のある技術を育成する機関と位置づけられている。
選定技術の具体例から、将来の宇宙ミッションに必要とされる部品や素材の方向性が見えてくる。月の地下溶岩洞を探査する構想では、超軽量の光ファイバーケーブルでロボットに電力と通信を供給する必要がある。土星の輪の調査を目指す「フェムトサット」は100グラム以下の極小衛星で、多数が失われることを前提に数千個単位で投入される。系外惑星の表面を観測するには、複数の望遠鏡からのデータを干渉させて星の光を消去する技術が求められ、極めて高精度な光学系が不可欠となる。こうした構想の実現には、従来以上に小型化、軽量化、そして高信頼性が求められる機械部品、電子部品、素材が必要になる。
NASAのこのような先端研究開発への投資は、単なる基礎研究ではなく、最終的には実装段階で民間企業への発注につながる傾向にある。現在、これら18の研究提案は初期段階であり、今後どのプロジェクトが実際のミッション化へ進むかは不明であるが、選定されたプロジェクトの多くが進展を見せれば、関連する部品メーカーや素材メーカーへの需要が生じる可能性は高い。特に日本は精密加工と小型化の技術的優位性を持っており、超軽量素材、光学部品、微細加工部品などの領域で、宇宙ミッション向けサプライヤーとして関与する機会が増えると考えられる。
NASAの研究投資が示すのは、宇宙産業の次の段階では、従来より指数関数的に多くの小型・軽量・高精度な部品が必要とされるということである。日本の製造業が競争力を保つには、単に既存製品の品質維持にとどまらず、極限環境での使用を前提とした新材料やプロセス開発に、今から投資を進める価値があるといえる。
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