宇宙での溶接技術、2027年にデモ実施へ フランス・アークスペース
フランスのスタートアップArcSpaceが、軌道上で金属構造物を自動溶接するシステムを2027年に実証することを発表した。200万ユーロの資金調達により、このミッションが実現する見込みである。
ArcSpaceは2022年に設立された企業で、電子ビーム溶接のコンパクト装置を開発している。この装置は軌道上での溶接、接合、切断といった加工作業を可能にし、衛星の組立てや補修、軌道上での保守といった応用への活用を想定している。電子ビーム溶接は真空環境に適した技術であり、宇宙空間での加工に向いている特性を持つ。このたびの8月に発表された種子融資ラウンドで200万ユーロを調達し、この資金はチームの拡大、飛行ハードウェアの適格性確認、そして初回の軌道上実証ミッション準備に充てられることになる。
実証ミッションで軌道に打ち上げるペイロードは12キログラム程度とコンパクトながら、機能拡張の余地を残しながら実証に必要な機能をすべて搭載している設計になっているという。未発表のパートナー企業が運用する宇宙機に搭載される予定である。軌道上では完全な自動操作が実施され、人間による遠隔操作に頼らない独立した動作が求められる。地上のコントローラーがテスト開始のコマンドを送信すると、その後の溶接作業はすべてオンボード・コンピュータが制御を担当する。複数の1時間程度のテスト実行が詳細に計画されており、各回では100秒以上の短時間溶接が複数回実行される予定である。各テスト実行のデータは収集・分析され、次のテスト実施に向けた改善に活用される。実証が成功すれば、ArcSpaceは2028年からの事業化を目指し、衛星の保守・修理・組立てといった軌道上サービスを市場に投入する予定である。
この技術開発の背景にあるのは、宇宙産業全体における経営モデルの根本的な転換という問題意識である。従来、宇宙産業は「使い捨て」を前提として機能してきた。衛星が故障したり燃料が枯渇したりすれば、数億ユーロに相当する資産が軌道上で失われてしまい、経済的な損失は計り知れない。しかし軌道上で製造、修理、改造が可能になれば、衛星の実用期間を延ばし、こうした損失を最小化できるようになると考えられる。これは単なる経営効率の改善にとどまらず、宇宙産業全体の持続可能性と国家間の安全保障に関わる本質的な転換なのである。軌道上での製造能力や修理体制を持つ企業や国が、将来の宇宙経済における競争力を大きく左右する可能性も指摘できるのである。
軌道上での溶接技術が実用化すれば、日本の製造業、特に部品・装置・素材のサプライヤーにとって新たな機会が生まれる可能性がある。軌道上で自動操作されるロボットやシステムに必要な精密部品、極限の宇宙環境に耐える高性能な材料、溶接装置自体の高い信頼性確保など、多くの新たな技術課題が生じることになるだろう。これらの課題を解く過程で、微細加工や極限環境対応といった日本が得意とする高精度製造技術が大きく求められるかもしれない。また軌道上修理が一般化すれば、衛星ビジネスの構造そのものが変わり、従来とは異なる組み立て方式や部品供給の在り方が必要になることが予想される。結果として、サプライチェーン全体の需要構造が変動し、新たな部品需要や改良要求が生じるとともに、既存の部品供給関係にも影響が及ぶ可能性が考えられる。さらに、軌道上での長時間稼働を想定した部品の信頼性向上や、宇宙放射線環境への対応も新たな設計課題として浮上することになり、これらの要素は日本の製造業が得意とする領域でもあるのである。
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出典:European Spaceflight / 自動翻訳のため訳文が不正確な場合があります




