SpaceX、米ルイジアナ州に約16兆円投資し宇宙港建設へ 年数千回の打上げ可能に
イメージ 米航空宇宙企業SpaceXが米ルイジアナ州バーミリオンに約16兆円を投じ、年間数千回規模の打上げが可能な新しい宇宙港を建設することが発表された。再利用型ロケット「スターシップ」の専用拠点として位置付けられるこの施設は、2027年の着工を予定し、早ければ2029年から運用が始まる見通しである。
SpaceXがここまで大規模な投資を決断した背景には、再利用ロケットの実運用段階への移行が進みつつあることがある。スターシップは打ち上げから着陸まで完全に再利用される設計であり、従来の使い捨てロケットと比べ大幅にコストを低減できると考えられている。それだけに打上げ頻度を極めて高める必要があり、年間数千回という野心的な目標が掲げられているわけだ。新しい宇宙港には5カ所の発射施設が建設され、各施設に2つの射点が設けられることから、複数のロケットを並行して整備・運用する体制が構想されていることがわかる。推進剤の製造施設や発電施設も併設され、宇宙港全体として自立した運用が可能な設計となっているようだ。
ルイジアナ州バーミリオンという立地選択も戦略的である。メキシコ湾岸に位置することで、多様な軌道への打上げが容易になる。また広大な土地と豊富な天然ガスの存在も、ロケット運用に必要な燃料と電力を安定供給する上で有利である。この投資により、同州では今後10年間に直接3,000人の雇用が創出され、間接雇用も含めると1万1,000人以上の雇用機会が生じると見込まれている。地域経済への波及効果は相当なものになるだろう。
同時に注目すべきは、中国の上海でも商業宇宙港の建設が発表されており、2030年までに年間150回の打上げと500基の衛星製造能力を整備することを目指している点である。米国の圧倒的な大規模投資と中国の野心的な計画を並べて見ると、宇宙産業は急速に拡大する市場として国家レベルで認識されていることが明らかである。打上げインフラの整備競争は、同時に衛星生産や関連機器製造の需要増加をも意味している。
日本国内の部品・装置メーカーにとっては、この流れは機会と課題の双方を示唆している。打上げ頻度の増加に伴い、エンジン部品、構造材料、制御・搭載機器など、ロケット関連の部品需要は増えていく可能性がある。一方で、米国企業の大規模投資と急速な技術進化に対応する競争力を保つことが、サプライチェーンに携わる企業にとって重要な課題になると考えられる。アメリカと中国の打上げ能力拡大の競争は、グローバルなサプライチェーンの再編を促す可能性があり、日本の製造業もその変化に適応する準備が求められるだろう。
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出典:Space Media


