JALとスカパーJSATが業務提携 地域課題の解決と新規事業創出に衛星データ活用
イメージ JALとスカパーJSATが業務提携基本契約を締結し、衛星データを活用した地域課題の解決と新規事業の創出に向けた協業を始めることを発表した。両社はそれぞれの強みを組み合わせ、社会課題の把握から実証、事業化までを段階的に進める方針だ。
両社は航空機向けの衛星通信サービスで既に協業しており、宇宙領域でも連携の余地を探ってきた経緯がある。今回の提携は、スカパーJSATが持つ衛星データと解析技術と、JALが航空事業で培った安全に関する知見や地域とのネットワークを組み合わせることで、新たな社会的価値を生み出す狙いで結ばれたものである。提携内容としては、社会課題とニーズの調査、衛星データを使ったソリューションの構築、官公庁や自治体、民間企業と連携した実証、実証結果をふまえた事業モデルの構築と実装の4つが示されている。
検討テーマの一つはヒグマなどの野生鳥獣による人的被害の予防である。衛星画像から得られる植生などの環境情報を用いて、出没リスクに関係する地域の状況を見える化するソリューションを検討しており、すでに地方自治体や関係機関へのヒアリングを進めて、地域の実情に合わせた構築と実証の計画を具体化しているという。鳥獣対策を起点に、防災・減災、森林管理、環境モニタリング、インフラ管理へと応用範囲を広げる構想も示されている。
宇宙産業の観点では、衛星データの活用先が通信や測位といった従来の領域から、地域の安全や環境管理といった生活に近い課題へ広がりつつあることを示す事例だと読める。衛星を打ち上げる事業者だけでなく、データを解析して現場の意思決定につなげる事業者が価値を持つようになると考えられ、宇宙と地上の産業の境界が今後さらに曖昧になっていく可能性がある。一方で、どの課題に、どの程度の精度と頻度でデータが求められるかは実証を通じて明らかになる段階であり、事業としての収益性や普及の道筋はこれから見極めることになる。
日本の製造業や部品サプライヤーにとっては、衛星データを受け取って現場で使える形にするためのセンサーや受信機、地上設備、解析に使うソフトウェアの周辺に関わる機会が考えられる。また、自治体や森林、インフラの現場で求められる計測機器や保守用の装置を手がけている企業であれば、衛星データと地上観測を組み合わせる実証の段階から加わることで、要件の把握や製品の改良に生かせる可能性がある。ただし、本件は提携の方向性を示した段階であり、具体的な調達や発注の計画は公表されていないため、今後の実証の進捗を注視する必要がある。
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出典:Space Media


