エアバス、スペインの通信衛星「SpainSat NG-Ⅲ」開発契約を受注 既存衛星と合わせ地球の3分の2をカバー
イメージ エアバスがスペイン企業Hisdesatから通信衛星「SpainSat NG-Ⅲ」の開発・製造契約を受注した。防衛・政府向けの暗号化通信システムを搭載した衛星で、2025年に打ち上げられた「SpainSat NG-I」と組み合わせることで、地球の3分の2の領域をカバーする通信衛星コンステレーションを構成する。
SpainSat NGプログラムは、スペイン政府が防衛・政府ミッション向けに構築する衛星通信基盤である。今回発注されるNG-Ⅲには、従来型アンテナ16基分に相当する能力を持つXバンド帯域の送受信用アンテナが搭載される予定だ。特筆すべきは、このアンテナが1秒間に最大1,000回の速さで電波を送るエリアを変更できること、そして高精度で電子妨害を検知・軽減できることである。こうした迅速なビーム切り替え機能と電子戦対応の機能は、政府・防衛用の通信衛星には不可欠な要件となっている。かつての固定的な地上局カバーではなく、柔軟に送信エリアを調整できる衛星通信システムへの転換が、国家防衛やミッションクリティカルな通信の信頼性を高めるという考え方が背景にある。運用カバー範囲は北米・南米から欧州、アフリカ、中東に及ぶ広大な地域であり、スペイン本国のみならず、その外交・防衛上の関係地域全域で通信を統御する戦略的な構想が見て取れる。
このプログラムが示唆するのは、防衛・通信インフラとしての衛星需要が、商業衛星市場とは別に、確実に高まっているという事実である。スペインのような中規模国家であっても、自国の防衛・政府通信を衛星で独立的に支える必要性を認識し、複数衛星の打ち上げに投資している。これは欧州全体がスペースデブリ問題やサイバー脅威への対応策として、衛星コンステレーションの自主性と冗長性を重視する姿勢の表れと考えられる。同時にエアバスのような大型衛星メーカーにとって、このような政府向けプログラムは継続的で大型の契約機会を意味しており、衛星ビジネスの重要な収益源となっている。
日本の部品・装置・素材メーカーにとって、このような衛星プログラムの展開は潜在的な商機を含む。Xバンド帯域のアンテナシステム、電子妨害対応の高度な制御系、衛星の構造体や熱設計用の材料など、世界的に競争力を持つ日本企業の技術が必要とされる領域が多い。防衛・政府向けという用途の特性から、信頼性・品質基準が極めて厳しく、長期にわたる技術サポートが求められるが、こうした要件を満たす日本メーカーが欧州の衛星プログラムのサプライチェーンに組み込まれる可能性は十分に考えられる。特に、高周波部品や電源制御回路、コンポーネント検証技術など、日本が強みを持つ領域との親和性が高い。
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出典:Space Media

