イーロン・マスク、AI衛星で地球を数十億年維持可能と主張
イメージ イーロン・マスクが、月から打ち上げたAI制御衛星で地球の気温を調整することで、10億年単位で惑星を居住可能な状態に保つ構想を発表した。再生可能エネルギーへの転換だけでは人類を十分に守れないとの判断が背景にある。
マスクが主張する課題は、地球が直面する絶滅級のリスクだ。彼は約1億年周期で発生するという極めて深刻な絶滅イベントから人類を守る必要があると指摘する。化石燃料を太陽光や風力に置き換えることは重要だが、それだけでは長期的な惑星規模の脅威には対応できないという論理だ。その解決策として、マスクが提案するのが「知性を持つ衛星」、つまりAI制御の太陽電池衛星である。
この構想の実装には月面の特性を活用する。月は重力が低く大気がないため、地球より圧倒的に低コストで物資を宇宙へ打ち上げることができる。マスクの計画では、月面に巨大な電磁カタパルト(マスドライバー)を建設し、ロケットに代わって電磁力で資材を発射する。それらの資材を使って地球と太陽の間に衛星を配置し、搭載されたAIが継続的に微調整を行って太陽光の到達量をコントロールするという仕組みだ。
気候変動への危機意識も明確だ。マスクが参考にした推計では、高いシナリオの下で2070年までにフロリダ州の約5パーセント(約168万エーカー)が定期的な浸水にさらされる見通しがある。現在の海岸での生活様式は今後、大きく変わる可能性が高いと述べており、対策を講じるために人類には約50年の猶予があると考えている。実は11月にも同様の構想を公表しており、火星への有人移住計画と並んで、人類が直面するリスクに対するマスクの総合的な戦略の一部と見なすことができる。火星での自律的なコロニー建設はこの絶滅イベントに対する保険政策とマスク自身が述べており、SpaceXでの報酬もこの達成に直結している。
このような月面インフラと軌道上の大規模衛星群の構想が現実化すれば、宇宙産業全体のサプライチェーンは極めて大きな変化を迎えることになる。月面の建設機械、大型衛星の製造と運用、軌道上での制御・通信システムなど、従来の宇宙プロジェクトには存在しなかった需要が大量に生じる可能性がある。このような構想が実現に向かえば、衛星、スペースステーション、火星進出の中継基地など、軌道上インフラの急速な拡大が考えられる。
日本の製造業や部品・素材サプライヤーに対しても、新たな機会をもたらす可能性がある。月面機械の部品、衛星の各種モジュール、極限環境に耐える高性能材料、軌道上での精密な制御・通信デバイスなど、従来とは異なる要求仕様と信頼性基準を満たす製品への需要が想定される。ただし、こうした構想は技術的課題が多く残されており、現段階では構想段階の評価にとどまることは留意する必要がある。
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