Following ancient rain toward life-related chemistry clues on Mars
火星の遠い過去における生命の化学的前段階を探る上で、東北大学などの研究チームが大気中のホルムアルデヒドの地表到達分布を全惑星規模でマッピングした。約38~36億年前、温暖で湿潤だった火星では、水蒸気の作用によって大気中に生成されたホルムアルデヒドが降雨とともに地表に供給され、水に溶けて糖やアミノ酸などの複雑有機分子へと化学変化していった可能性がある。この新たな地図は、将来の火星ミッションにおいて生命の起源に関わる痕跡を探すための有望な着陸地点を指し示すと考えられる。
火星が現在のような寒冷で乾燥した状態に至る前、その大気と地表は今とは大きく異なっていた。地質学的・鉱物学的な証拠は、火星が液体の水を保持できるほどの温暖な時代を経験したことを示唆している。研究チームが注目したのは、その時代に大気中で生成されていたと考えられるホルムアルデヒドだ。このシンプルな有機分子は、水に到達することで、生命の構成要素となるアミノ酸や糖といったより複雑な有機分子へと変化する可能性を持つ。しかし重要な問題が残っていた。そのホルムアルデヒドが、火星のどこに、どの程度の量で地表に到達していたのかという点である。
研究チームは、38~36億年前の温暖な火星の大気条件をシミュレートし、温度、水蒸気量、気圧、紫外線がホルムアルデヒド生成に与える影響を詳細に調べた。結果は、水蒸気が極めて重要な役割を果たしていたことを示している。紫外線は水分子を分解して反応性の高い水素を放出し、それがホルムアルデヒド生成に必要とされる一方で、降雨がホルムアルデヒドを地表へと運び込んだ。つまり、水に恵まれた地域ほど、より多くのホルムアルデヒドを受け取ったと予想されるということだ。作成された地図によれば、Tharsisやelysiumといった山岳地帯は全球平均の約10倍のホルムアルデヒド沈着量を受けた可能性がある。
この地図上に示された「ホットスポット」は、火星探査機が既に訪れた地点や収集したデータとの比較を可能にする。今後の火星着陸ミッションが、ホルムアルデヒド沈着が多かった地域で、実際に生命関連化学の有利な条件が存在していたかを検証することで、古い火星における有機化学の発展過程がさらに明らかになるだろう。日本の部品・装置・素材メーカーにとっても、火星のそうした極限環境で動作する探査機や分析装置の高精度化・耐環境性の強化は、火星ミッションの成功を支える重要なサプライチェーンとなりつつある。
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Source:Phys.org
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