Closing the space gap: A more precise way to measure distance between quasar pairs
遠く離れた銀河の双子のクェーサー(ブラックホール駆動の銀河中心)について、その視線方向の距離を正確に測定する新しい手法がアルバータ大学の研究で検証された。従来の測定方法では最大1000万光年の誤差が生じていたが、新手法はその精度を50万光年程度まで高めることができるという。
クェーサーとは、遠い宇宙の銀河中心に存在する超巨大ブラックホールが周囲のガスを急速に吸収するときに放出される、極めて明るい天体である。空の上で二つのクェーサーが並んで見えることがある。ただし我々が見ているのは三次元宇宙の二次元的な投影であり、クェーサー対の空上での距離(左右の離れ方)は正確に測定できるが、視線方向の距離(手前奥のどちらにあるか)の判定は非常に難しい。宇宙の膨張に伴う赤方偏移と距離の関係を使うのが従来の手法だが、ここに大きな問題がある。活動する超巨大ブラックホールは周囲のガスを高速で吹き出す。そのため測定されるガスの速度が、銀河の真の後退速度から大きくずれてしまう。この誤差は視線方向の分離距離を最大1000万光年もシフトさせ、実際にはブラックホール同士が強く相互作用するはずの距離にあっても、まったく無関係な遠い天体だと誤認させる可能性がある。
新しい手法は「クェーサー近接効果」と呼ばれるアプローチを用いる。クェーサーは周囲のガスを光と熱で照らし、その明るい領域がスペクトル観測で透明に見える。これを電球の光に例えれば、二つの電球が同じ場所にあれば明るい領域は一つに見え、片方が前に出ていれば、その前方に第二の明るいパッチが現れる。その距離の差が電球の位置のずれを示す。クェーサーの場合も、これらの透明な領域を目印にして、二つのクェーサーの分離距離を逆算することができる。この手法は従来の赤方偏移測定と異なり、ブラックホールの猛烈な放出ガスの影響を受けにくい。研究では模擬データと単純なアルゴリズムを用いたが、従来の手法が数千万光年の誤差を持つのに対し、新手法は多くの場合、約50万光年の精度で物理的な分離距離を特定できることが示された。
この改善は天文学研究にとって大きな意味を持つ。クェーサー対の真の分離距離が分かることで、二つのブラックホール宿主銀河がいつ衝突し、中心の超巨大ブラックホール同士がいつ融合するのかが判定しやすくなる。また、新手法は高度な観測設備を必要とせず、既存のスペクトルデータから直接計算できる。従来は特殊な機器での観測に数年かかることもあり、そもそも観測できない場合もあったが、この手法ならクェーサー対の真の分離距離を二次的な観測なしに特定できる可能性がある。
こうした宇宙観測技術の進展は、日本の製造業とも無関係ではない。分光器や光学検出器などの宇宙観測機器、データ処理システム、高精度の測定・計測装置など、宇宙研究を支える装置・部品・素材の需要につながる可能性がある。また、遠距離測定や信号解析の精密技術は、産業用センサーやシステム開発にも応用されうる領域であり、研究段階での技術蓄積が将来の製品化に結びつく可能性を持つ。
Introduction ends here. Please read the full article at the source.
Source:Phys.org
Looking for companies in this field?
UchUchU maintains a database of Japanese companies in the space industry.