'Quiet' pulsar suddenly reveals three glitches in 15 years of observations
若い中性子星パルサーが15年間の継続観測で、それまで見られなかった3つの回転不安定(グリッチ)を初めて検出した。発見以来「静か」で安定していたはずのこのパルサーが、突然相次いで異常を起こし始めたことは、宇宙天体の予測不可能性と、長期にわたる継続観測の重要性を改めて示している。
パルサーとは、極めて高速に回転する中性子星のうち、その放射が地球に周期的に届くもので、精密な時計に例えられるほど規則正しい現象である。今回観測されたPSR J1637−4642は年齢わずか41,000年と宇宙的には若い星で、154ミリ秒の周期で自転している。オーストラリアのパークス天文台の後継施設Murriyang望遠鏡が2009年2月から2024年10月まで15年半にわたって集めたデータを分析した結果、初めて3つの顕著なグリッチが検出された。最初のグリッチは2018年頃に起きた最も大きなもので、回転周波数が約27ppm(百万分の27)の変化を示した。その後、3年の間隔をあけてより小規模な2つのグリッチが相次いだ。この星は発見後約10年間は全くグリッチを示さなかったため、内部の応力が長年蓄積された後に突然解放されたのではないかと考えられている。
グリッチの原因は、中性子星の内部に存在する超流動体が、固い外殻に急激に角運動量を移動させることと考えられている。グリッチが発生すると外殻の回転速度が急上昇し、その後、超流動体との相互作用によって徐々に新たな平衡状態へ向かう。今回の詳細な分析では、第1グリッチ後の緩和過程を調べた結果、中性子星の全角運動量のうち約1.9%が内殻の超流動体に関連していること、そしてその緩和に約102日を要することが判明した。このようなデータは、極限条件にある中性子星内部の複雑な構造と物理過程を理解するための貴重な観測結果であり、基礎物理学の知見を深める上で重要な意味を持つ。
一見安定した天体であっても長期的な監視を続けることで、初めて予期しない現象が明かされることがある。こうした観測の実例は、衛星や探査機の搭載受信機、アンテナシステムの設計・製造に携わる日本の製造業にとっても示唆に富んでいる。予測困難な信号変化への対応を念頭に置いた堅牢性の確保が、宇宙機器の信頼性を支える上で重要となるのだ。基礎研究を支える観測機器やセンサー技術の継続的な進化は、宇宙科学の発展を支えるだけでなく、それに関わる製造業の技術力そのものを高める根幹となるのである。
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Source:Phys.org
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