NASA's Hubble spies spiral's edge
NASAのハッブル宇宙望遠鏡が、はと座の方向およそ3700万光年先にある渦巻銀河NGC 1827を真横から捉えた画像を公表した。この画像は単独の撮影ではなく、天の川銀河に似た22個の親銀河の周囲、半径およそ3200万光年の範囲にある260個の衛星銀河を調べる観測計画の一部である。計画は現在までに111個の観測を終えており、残る149個は1個につき1周回分の観測が必要とされ、あと149周回分の観測時間が見込まれている。小さな銀河を系統的に調べる地道な観測の積み重ねを示す一枚といえる。
画像はAdvanced Camera for Surveys(ACS)で撮影された。銀河の円盤に沿って青く輝く領域が点在し、その間を暗い塵の帯が走っている。記事は、青い領域が新しい星の生まれている場所である可能性が高いと見ている。手前に写る明るい星は、銀河の中心にある明るい膨らみの左側に位置するが、銀河より手前にあり、たまたま重なって見えているにすぎない。四方へ伸びる回折スパイクは、星の光が望遠鏡内部で副鏡を支える構造に当たって曲がることで生じるもので、天体そのものの性質を示すものではない。
この観測の意味は、対象が小さな質量の銀河である点にある。記事によれば、宇宙論のモデルは小さなスケールでの予測が観測と合いにくいとされており、低質量の銀河はその検証の手がかりになる。ハッブルが取得するデータは、天の川銀河のような系の中で低質量銀河がどのような性質を持つのかを明らかにし、モデルの精緻化につながると期待されている。宇宙の基礎理論に関わる研究であるため、製品需要として短期に表れる性質のものではないと考えられる。ただし、観測で得られた知見が次の宇宙望遠鏡や観測機器の性能要件に反映されていく流れは、宇宙産業全体の技術水準を底上げする方向に作用する可能性がある。
製造業の視点では、ハッブルはすでに運用中の設備であり、本計画そのものが新たな部品調達を生むわけではない。ただ、望遠鏡の支持構造や鏡の熱変形を抑える材料、高感度の検出器、振動や温度変化に耐える精密部品は、こうした観測を支える共通の技術基盤である。日本の部品・装置メーカーにとっては、後継となる宇宙望遠鏡や観測衛星の計画で、精密加工、低熱膨張材料、光学部品の品質管理などに関わる余地があると考えられる。直接の受注に結びつくかは個別の案件次第だが、観測要求が高度になるほど、加工精度と材料の安定性が問われる場面は増える可能性がある。
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Source:Phys.org
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