First comprehensive Mars soil classification offers framework for exploration and future farming
オーストラリアのシドニー大学の博士課程学生らが、火星の土壌を網羅的に分類する初の体系と分布図を発表した。火星上の約8億か所を2,000の土壌クラスに整理したもので、火星の各地を比べるための共通の枠組みになる。今後の探査や居住、食料生産に適した場所を絞り込む際の土台として使われると考えられる。
研究は学術誌CATENAに掲載された。軌道上からの観測データとモデルを用い、テクスチャ、鉱物組成、pH、土層の厚さといった性質を組み合わせて、10の「レルム」、100の「アセンブリッジ」、2,000の「フォーム」という階層で整理している。名称は火星のギリシャ名アレスにちなみ「areth」と付けられた。火星の地質や鉱物、化学組成を地図にする試みは以前からあったが、複数の性質を一つの体系にまとめた点が新しい。分布図は火星表面の92%をカバーしている。
試験的な評価では、2,000のクラスを保水力、pH、土層の厚さ、粘土含有量、礫含有量の観点から採点した。最も高い0.93(1点満点)を得たのが「Nohibareth」で、モデル上の平均的な土層はpH 6.8、粘土72%、砂や礫はほとんどなく、保水力は1メートルあたり202ミリメートルと推定される。分布は火星の中緯度域に限られ、表面のわずか0.14%だ。ただし研究者はこれを温室の適地と断定しておらず、詳しく調べるべき候補地という位置づけである。評価した形態のうち73%では、保水力が制約要因になっていた。
この結果は、火星の土で作物が直接育つことを意味しない。居住域には、制御された環境、水、養分、そして有害物質の処理が別途必要になる。地図には過塩素酸塩の毒性や窒素の利用性、深さ方向の情報は含まれておらず、入力の多くは軌道データと地球上の関係から推定されたものだ。そのため、ローバーによる直接計測が進めば分類は改訂されていくと考えられる。一方で、有機物をほとんど含まない乾燥地域の土壌を見直すきっかけにもなるとされ、アタカマ砂漠やピルバラ地域などへの応用も示唆されている。
製造業の視点では、次の段階は地上での実験になる。分類ごとの模擬土壌を作り、作物、養分、水の管理を組み合わせた環境で、生育や水の使用量、無害化に必要な処理を比べる計画である。この過程では、土壌の混合・搬送装置、水分や養分を測るセンサー、水の循環・ろ過設備、保水材などの素材が必要になると考えられる。宇宙農業は長期的な研究テーマだが、地上の閉鎖型栽培や乾燥地農業の技術と重なる部分もあるため、日本の部品・素材メーカーが早い段階から関われる分野になる可能性がある。
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Source:Phys.org
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