Rescue mission is called off for NASA's aging Swift space telescope
NASAが軌道低下していた観測衛星スウィフトの救出ミッションをキャンセルすることを発表した。軌道修正に向かわせた民間企業の衛星が制御不能に陥ったためだ。
スウィフトは2004年に打ち上げられた宇宙X線・紫外線観測衛星で、ガンマ線バーストや爆発する恒星など宇宙最大級の爆発現象の追跡観測を20年以上にわたって実施してきた。科学的価値の高い衛星だけに、その喪失は天文観測の空白をもたらす。しかし太陽活動の激化に伴う大気圏の膨張により、予想を上回る速度で軌道高度が低下し始めた。NASAは軌道を高い位置に修正する必要に迫られ、民間宇宙企業Katalyst Space Technologiesに軌道修正衛星「Link」の打ち上げを依頼。7月初旬に打ち上げられたLinkは、スウィフトを現在の約345キロメートルから本来の軌道である373キロメートルへ押し上げることで、多くの観測年数を確保する計画だった。このミッションは宇宙インフラの保全という新しい領域における、官民連携の試みとして注目を集めていた。
ところが打ち上げから数週間後、Linkは予期しない自転に陥った。地上管制チームは自転速度の低下に成功したものの、衛星の指向制御や軌道内位置の調整が継続的に困難な状態が続いた。最終的にKatalystはスウィフトの捕捉と軌道修正を試みることを断念せざるを得ず、スウィフトは今年10月までに大気圏へ再突入する見込みとなった。NASAはこのミッション実施のためKatalystに3000万ドルを支払う契約を交わしていた。Katalyst側は、1年未満という過密なタイムラインで立ち上げた高リスク・高リターンのミッションに挑戦したことを一定の成果として評価する意向を示しているが、目的達成に至らなかった現実は重大である。
この失敗は宇宙産業に複数の重要な課題を露呈させた。ひとつは太陽活動の増加に伴う軌道低下という環境要因への対策が不十分なことであり、今後もこのような軌道衛星の制御問題が増加する可能性がある。もう一つは、民間企業による衛星の軌道保修という新しいビジネスモデルの実行難度である。短期間での計画・開発・打ち上げという過密なスケジュールの中で、制御系統や推進装置の信頼性検証が十分ではなかった可能性が指摘される。NASAは当初、このミッションの成功を前提に、同じく軌道低下している36年前から運用中のハッブル宇宙望遠鏡への軌道修正も次の候補として検討していた。だが今回の失敗により、ハッブル救出計画の実現性が大きく後退することになった。
日本の衛星・部品製造業にとって、この出来事は今後の事業機会と技術的課題の両方を示唆している。軌道修正や衛星保修といった分野では、高度な信頼性と制御精度を備えた推進系、制御装置、各種センサーなどへの需要が増すと考えられる。同時に太陽活動が増加する環境下における衛星運用の安定性や、民間主導のミッションに求められるより厳格な信頼性基準など、これまでにない要求仕様が顕在化するだろう。宇宙インフラの老朽化対策が急速に進む局面において、日本のサプライヤーがどのような技術で対応し、グローバルなサプライチェーンに組み込まれていくかが問われる時代に入った。技術開発と事業戦略の両面での対応が急務となっている。
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Source:Phys.org
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