Japan's Hayabusa2 achieves first-ever laser ranging experiment with an asteroid
日本航空宇宙探査機構(JAXA)のはやぶさ2が、小惑星トリフネへのフライバイ中にレーザー測距実験を初めて成功させた。7月5日に実行されたこの実験は、人類が小惑星や深宇宙の天体を探査する際の技術的な能力を大きく広げるものであり、世界の宇宙機関による今後のミッション設計に新たな可能性をもたらしたのである。
はやぶさ2が搭載するLIDAR高度計(LALT)は、JAXAの月周回衛星かぐやが使用したレーザー測距技術をベースに開発された機器である。単なる距離測定だけでなく、小惑星の密度や気孔率、表面の反射特性、さらには浮遊するダスト粒子の検出まで可能な設計になっている。実は、はやぶさ2が2019年から2020年にかけて探査した小惑星リュウグウでも、この機器は表面地形の詳細なデータ取得に既に重要な役割を果たしていた。つまり、この技術は一度の成功で終わらず、繰り返し宇宙で検証されてきた実績のあるものなのである。今回のトリフネでの実験は、そうした既に実績のある技術をより困難な環境下で試すことでもあった。
この実験がなぜ難しいのかは、具体的な状況を見ると明確である。はやぶさ2は秒速5.3キロメートル、時速1万8000キロメートルという高速で移動しながら、小惑星という小さな標的に向けてレーザーを照射する必要があった。7月5日のフライバイでは、トリフネから約20キロメートル離れた地点で最初のレーザーを発射し、その56.5秒後に15キロメートルの距離から2度目を発射した。それぞれの照射領域は30メートル、23メートル程度に限定されている。このような極めて小さな照射範囲に正確に光を当てるためには、宇宙機の姿勢と軌道を非常に精密に制御しなければならない。同時に、地球から遠く離れた宇宙機からレーザーが帰ってくる信号に対して、背景ノイズを確実に除外する必要がある。計器の設定も綿密に調整しなくてはならず、ミッション運用チームは膨大な準備作業を実施した。その結果として、2度の照射が両方とも成功したのである。
宇宙環境ではなぜ距離測定が大事なのか。宇宙には参照となる物体が存在しないため、映像だけからは前景と背景を区別することが本来難しい。レーザー測距は、映像に対して物理的な距離という物差しを付け加え、天体の大きさや位置を正確に決定する。複数の時点でレーザー測距を行い、宇宙機の追跡データと組み合わせることで、天体の位置と軌道を高精度で決定でき、軌道予測が大幅に改善される。この情報がもたらす価値は宇宙探査だけに留まらない。地球に衝突する可能性のある小惑星を事前に予測し、対策を立案する「惑星防御」という重要な分野において、この技術は極めて有用だと考えられる。今回の成功は、高速で移動する宇宙機がいかに効率的に天体の重要な情報を取得できるかを実証した点でも価値がある。ミッションチームは今、レーザーが小惑星の表面に正確に当たった位置を特定するための詳細分析を進めている。
日本の部品・装置・素材メーカーにとって、この成功は産業的な意味を持つ。はやぶさ2のような深宇宙探査では、超精密な制御系、高精度のセンサ、極限環境での動作に耐える各種の部品と素材が不可欠である。今回のレーザー測距実験の成功は、こうした日本製の要素技術がいかに高い水準にあるか、そして宇宙という最も過酷な環境で信頼に足るか、ということを国際的に実証する機会となった。小惑星探査や惑星防御が世界的に重要性を増していく中で、こうした高度な部品・素材を供給する日本企業への需要は、さらに高まる可能性が考えられる。
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Source:Phys.org
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