Largest dataset of its kind could clarify how massive stars shaped early galaxies
ユタ大学が主導する国際調査プログラム「TEMPOS」が、ハッブル宇宙望遠鏡の紫外線観測機器を用いて、宇宙初期の銀河を理解するための最大級のデータセットを集めた。低金属量の環境にある29個の大質量星を対象にした観測により、初期宇宙に似た条件下における星の物理的性質を初めて大規模に解析した成果である。
宇宙初期の銀河は現在の銀河と大きく異なり、その謎を解く鍵が大質量星だと考えられている。大質量星は太陽の10倍以上の質量を持ち、その極めて短い人生の間に莫大なエネルギーと物質を周囲に放出して、銀河全体の進化を支配する存在である。しかし初期宇宙では重い元素(天文学では金属と呼ぶ)が極端に少なく、そのような環境で成長した大質量星の挙動は現在の銀河系の星とは根本的に異なるはずだ。従来は高い金属量を持つ銀河系の星を調べることで初期宇宙の星を間接的に推測していたが、初期宇宙に近い低金属量の環境にある星を直接観測する必要性が指摘されていた。そこでTEMPOSは近傍の矮小銀河に着目し、太陽の5分の1以下の金属量を持つ6つの銀河から29個の大質量星を選定して詳細な観測調査を実施した。
調査結果は二つの重要な発見をもたらした。一つは、金属量が低いほど恒星風(星の表面から絶えず放出される物質の流)が弱くなるという予想されていた傾向が確認されたことに加え、特に最も金属量が低い星ではその低下が予想以上に急峻だったことだ。恒星風が弱ければ星が失う質量も少なくなり、その結果として星の進化過程や最期の超新星爆発のあり方が大きく変わる可能性がある。もう一つは、恒星風の駆動メカニズムに重要な役割を果たす鉄の存在量を、初めて詳細に測定できたことである。従来は酸素を指標に銀河の金属量を推定していたが、今回の観測から、金属量の低い星では鉄と酸素の関係が単純ではなく、広い範囲に分布することが明らかになった。これらの新たな知見は、現在ジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測している初期宇宙の銀河を解釈するための理論モデルの改善に極めて重要である。
日本の製造業、特に精密機器や計測装置を手がける企業にとって、本調査が直接的な意味を持つことは限定的だが、無視できない点がある。ハッブル宇宙望遠鏡のような大型観測機器の実現は、各国の精密部品メーカーや光学・検出器メーカーによって支えられており、今後の次世代宇宙望遠鏡や観測衛星の構想では、さらに高度な検出器や光学部品が必要とされるからだ。基礎科学としての宇宙科学の進展が、やがて宇宙産業全体の拡大につながり、国際的なサプライチェーンの中で日本の部品・装置サプライヤーの重要性は一層高まっていくと考えられる。
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Source:Phys.org
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