This Week In Space podcast: Episode 227 — Trekmania
スタートレック生誕60周年を迎えるなか、SF作品が現実の宇宙産業に与えた「デザイン的・概念的な影響」が改めて注目されている。米国のメディア「This Week In Space」が配信するポッドキャスト最新エピソード(第227回)では、スタートレックの映像デザインを半世紀にわたって主導してきたマイケル・オクダを招き、同作品のビジュアルシステム、特にエンタープライズ号のコンピュータUI「LCARS」(Library Computer Access and Retrieval Systemのグラフィカルシステム)が、いかに宇宙技術業界のデザイン言語として定着してきたかが語られている。オクダはスタートレック世界の視覚的な「規範」を守ってきた人物として、番組内でも重要な証人として位置づけられている。オリジナルシリーズのデジタルリマスタリングにも携わるなど、その影響は単なる美術設計の域を超えている。
オクダが手がけた映像デザインは、単なる視覚的なエレガンスではなく、宇宙機器のオペレーション効率を実現するための工学的な設計思想を内包していた。LCARSは複雑な宇宙船の制御システムを直感的で効率的に操作するインターフェースとして設計されたもので、その後の実際の衛星制御システムやロボット操作インターフェースなど、宇宙産業の現場で実装されるUIデザインに大きな影響を与えたと考えられる。スタートレックが「未来はこうであるべき」と提示した視覚的イメージが、エンジニアや設計者の思考の枠組みとなり、数十年後の現実の製品設計に反映されるという循環が生じているのである。
同時にこのエピソード配信と同じ時期に、宇宙産業の最前線では急速な変化が起きている。ポッドキャストが同週に報道した宇宙ニュースには、中国による火星サンプルリターン機の2028年打ち上げ計画や、米軍による初の「軌道ドッグファイト」演習の実施など、宇宙領域の競争と軍事化が急速に進展していることが報じられている。これらのニュースは、スタートレックが描いた「宇宙への進出」というSF的な夢が、今や国家戦略や軍事戦略の現実として具現化されつつあることを象徴している。
こうした産業変動のなかで、日本の製造業にとって重要なのは、グローバルな宇宙産業のサプライチェーンの急速な再編成である。記事で紹介されているスペースXのファルコン9のスケールモデルロケットの商用販売は、最先端の宇宙技術が消費者向け製品へと転換されていく流れを示すものだ。これは、部品メーカーや装置メーカーにとって、従来の「宇宙用部品=高価・少量・超高精度」というモデルだけでは対応しきれない、新しい供給ニーズが生まれつつあることを意味している。日本の製造業は、宇宙産業の新しいプレイヤーたちの設計思想やビジネスモデルを理解し、それに対応した部品・装置・素材の供給体制を整備していく必要があると言えるだろう。
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Source:Space.com
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