On Cloud 9: Have astronomers discovered the first starless galaxy?
理論上でのみ予測されていた「恒星なし銀河」が、観測で初めて確認される手前まで来た。Cloud 9と名付けられたこの天体は、ガスと暗黒物質から成りながらも、ほぼ恒星を保有しない奇異な銀河として浮かび上がったのだ。
Cloud 9は地球から1400万光年離れた螺旋銀河メシエ94の付近に位置する。この天体は100万太陽質量のガスと500万太陽質量の暗黒物質を保有している。通常、このような大量のガスは星々の形成を促す「培地」として機能するはずだ。しかし今年1月のハッブル宇宙望遠鏡の観測で、Cloud 9からの星光がほぼ検出されないことが明らかになった。その後、スペインのカナリア天体物理学研究所の研究チームはグラン・テレスコピオ・カナリアスを使用して、これまでの約10倍の深さでCloud 9を撮像した。わずか2.36時間の観測で達成されたこの深さは、チーム自体も驚くほどのものだったという。過去の観測で検出されなかった恒星の痕跡は、今回の深い観測でも見つからなかったのである。チーム長のイグナシオ・トルヒーリョは「100万太陽質量のガスが存在すべき領域で、完全な空白を見た。これは宇宙が教えてくれる、最も説得力のある結果だ」と述べている。
仮に古く金属量の少ない恒星集団が存在したとしても、検出可能な恒星の総質量の上限は16000太陽質量程度に限定されるという。つまりCloud 9は、観測上ほぼ完全に恒星を欠いた銀河として浮かび上がったのだ。恒星なし銀河の形成メカニズムについては、宇宙再電離後の背景放射が低質量暗黒物質ハロー内のガスを加熱し、ガスの冷却と星形成を阻害するという理論が有力である。シミュレーション予測によれば、約50億太陽質量以下のハロー質量を持つ銀河は、本来恒星なしの状態になるべきだとされている。Cloud 9のハロー質量はこの予測と一致している。つまりこの発見は、標準的な宇宙論モデルが正当であることを強く示唆し、恒星なし銀河が宇宙の異常現象ではなく、ごく自然で豊富に存在する天体であることを示しているのだ。
ただしCloud 9が真に恒星なし銀河であるという最終的な結論は、まだ下されていない。研究チームはさらなる観測が不可欠であると指摘している。ハッブル宇宙望遠鏡はすでに有力な証拠を提供しているが、ジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡といった新しい観測施設は、さらに深い探査を可能にする可能性を持つ。個別の恒星を分解能で識別することで、拡散光測定に伴う多くの問題を避けることができると研究者は考えている。
この発見の意義は天文学の領域にとどまらない。既存の観測機器では到達不可能な深さへのアクセスが必要であることが証明されたのだ。研究チームが述べるように、さらに深い光学画像と無線観測の組み合わせなど、観測技術の向上が継続して求められている。宇宙現象の解明に必要な観測施設の進化は、地上の精密産業への技術要求を高める。こうした観測機器の開発と改善を通じて、光学部品から検出器まで様々な分野の技術が必要とされることになると考えられる。
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Source:Space.com
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