Ancient star collisions could explain mysterious Little Red Dots and 'impossible' black holes
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームによるシミュレーションで、宇宙初期の高密度な星団の中では恒星同士の衝突が頻繁に起きていた可能性が示された。衝突を繰り返して合体した巨大な星が寿命の終わりに崩壊し、大質量のブラックホールの種になりうるという研究である。超大質量ブラックホールが急速に成長した理由を説明する手がかりとして注目される。
背景には、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が、宇宙誕生から10億年に満たない時期の超大質量ブラックホールを捉えたという観測上の謎がある。通常の恒星質量ブラックホールが超大質量へと成長するには、少なくとも10億年程度の時間が必要とされるためだ。そこで有力視されてきたのが、中間質量ブラックホールを種として成長したとする説である。ただし、現在の近傍宇宙の条件では、単独の星が中間質量ブラックホールを生むほどの質量を持つことは考えにくい。今回の研究は、初期宇宙の密集した星団では合体の連鎖によってその条件が満たされうることを示した。現代の銀河中心でも高密度な星団は存在するが、既存の超大質量ブラックホールの重力で星の速度が上がり、衝突は高速で破壊的になるため、同じ過程は起きにくいと考えられる。
この星団モデルは、JWSTが見つけた「リトル・レッド・ドット」と呼ばれる天体の説明にも使える可能性がある。これらは宇宙誕生から20億年ほどの時点で姿を消したとされる。宇宙が膨張し冷却するにつれて、混沌とした星団が秩序立った銀河へと発展していったと考えれば、中間質量ブラックホールを生む条件が失われ、天体が消えた理由も説明できるかもしれない。ただし、これは現時点ではシミュレーションに基づく仮説であり、リトル・レッド・ドットの正体が確定したわけではない。研究チームも、さまざまな研究の見方を結びつける一つの試みと位置づけている。
宇宙産業にとって、この研究が直ちに新たな市場を生むわけではない。しかし、宇宙の初期天体や大規模構造の理解が進めば、将来の観測ミッションが狙う対象や求める性能に影響を与える可能性は考えられる。JWSTのような赤外線観測装置は、高感度の光学系や極低温で動作する検出器を前提とする。観測要求が高度化すれば、そうした装置の仕様検討にも変化が生じるかもしれない。
日本の製造業やその部品サプライヤーにとっては、この研究を受けて今すぐ発注が増えるといった話にはならない。ただし、宇宙望遠鏡の光学部品、精密な機械構造、低温環境に耐える材料などは、日本の製造業が強みを持つ分野と重なる。次世代の観測機の計画や仕様の動向を継続的に追い、自社の技術がどの要求に応えられるかを確認しておくことが、現実的な関わり方だと考えられる。
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Source:Space.com
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