NASA astronaut Jessica Meir shares zero-G curly hair tips from the ISS (video)
NASAの宇宙飛行士ジェシカ・マイア氏が9月9日、国際宇宙ステーション(ISS)から無重力環境下での縮毛のケア方法についての5分半の動画をソーシャルメディアで公開した。この発信は、単なるヘアケア技術の共有ではなく、宇宙開発に参加する人材の多様化と、その多様性に対応する技術開発の必要性を象徴している。
マイア氏は、無重力という特殊な環境でのヘアケアの工夫について具体的に説明している。地上では当たり前の水や日用品が極めて限定的な宇宙環境では、無水シャンプーが必須となる。彼女は特に頭皮の汗や塩分の蓄積に注目し、丁寧に頭皮を洗浄する手法を実践している。水を絞り出すポーチから慎重に水分を取り出し、それを髪の根部に沿わせ、頭皮に擦り込むという一連の動作は、限られた資源の中での最適化されたプロセスである。乾燥にはISS滞在中の「専用のTシャツ」を用いるなど、持ち込める物資の厳選と多目的利用も同時に実現している。
ISS環境の低湿度という条件は、地上での髪の変化の常識を覆す。マイア氏の3aのカールが3cへと変化するというのは、無重力の浮力状態では重力による髪への圧力がなくなり、より立体的なカール構造が実現することを示している。無水環境と低湿度の組み合わせという特殊条件だからこその髪の変化であり、この現象を理解することは、宇宙での生活支援製品開発にとって重要な知見となる。著者のエリザベス・ハウエル氏はこの技術共有の背景に、より深い意味を見出している。彼女は自身の1990年代の中学時代を振り返り、当時の直毛信仰による縮毛への社会的差別と偏見を率直に述べている。その時代、一般的なヘアスタイルとされた「フレンズのレイチェル」のような直毛に対して、自然な縮毛を持つ自分は同級生から外見について非難され、時には人種差別的な言葉さえ浴びせられたという。
このような歴史的背景を踏まえ、著者は多様性の表現が持つ実質的な意味について論じている。見た目や髪形という外見上の特性は、一見すると表面的に見えるかもしれないが、実は個人のアイデンティティと深く結びついており、社会での包括性を実現する上で避けられない要素であるという視点である。宇宙開発という人類の最先端の活動領域において、異なる背景を持つ人材の参加が可視化されることは、地上の多くの職域や産業に対しても、多様性を受け入れることの実践的な価値を示すシグナルとなる。NASAのクリスティーナ・コック宇宙飛行士がアルテミスII月面ミッションで縮毛を披露したことも、この潮流を強化している。
宇宙産業のサプライチェーンにおいて、このような多様化と長期ミッション増加は、新たな製品開発の機会をもたらしている。限られた水資源で効率的にケアできる無水シャンプーのような製品は、元来は医療用途や災害対応など地上にも必要とされてきた。しかし宇宙環境という極限条件での需要が明確化することで、技術開発の優先順位が高まり、市場化への道筋が形成される可能性がある。日本の化粧品メーカー、衛生用品メーカー、素材メーカーにとって、このような宇宙利用製品は、従来の事業領域を補完する新たな事業機会となる可能性がある。同時に、宇宙開発が多様な背景を持つ人材を受け入れる中で、その多様なニーズに応える製品開発への関心がより高まることが予想される。宇宙産業のサプライチェーンは、従来のロケット部品や衛星機器だけでなく、宇宙での人間の日常生活を支える消費材・日用品をも重要な構成要素として組み込みつつあるのである。
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Source:Space.com
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