MIRROR robot reflects future of in-orbit assembly
宇宙空間での大型構造物を自動で組み立てるロボット技術の実証実験が進んでいる。ヨーロッパ宇宙機関(ESA)が支援する一連のプロジェクトでは、バラバラに打ち上げた部品をロボットアームで宇宙空間で接合する組立手法の研究を行っており、クランフィールド大学が開発したMARIOロボットがその実現性を示す実験に成功した。
実験で用いられたMARIOロボットは3本の腕を備え、暗い実験室内で足場を組むように立体構造を作り上げていった。2本の腕で梁を掴みながら移動し、残された3本目の腕を使って部品同士を接合する設計である。ロッククライミングで次の掴める場所を探りながら進むように、少しずつ構造を積み上げていく仕様だ。カメラ機能を備えた腕で接合部の詳細を確認しながら作業を進め、やがてトラス状の構造へ発展していく。この試みはISAAC(軌道上組立・建設)という活動の一環で、宇宙の無重力環境下での組立を想定した構造設計とロボット制御を実地で検証するものである。
軌道上での組立技術が求められる理由は、宇宙利用の拡大にある。衛星のアンテナ、通信反射鏡、太陽電池パネルシステムといった機器は、現在のロケットで運べるサイズや重量の制約により、打ち上げ後の規模や性能が限定されている。部品を個別に打ち上げて宇宙で組み立てることができれば、より大型で複雑な構造が実現でき、将来のミッション設計の自由度が飛躍的に増す可能性がある。ESAはこの方向性を実現するため、MIRROR(ロボット技術)、ISAAC(構造・接合設計)、RISE(太陽電池エンジニアリング)という3つの調整された活動を並行で推進している。これらは軌道上での組立という共通目標に向けて、異なる技術領域を体系的に整備しようとするものである。
このような技術転換は日本の製造業にも深く関係する可能性がある。精密部品、構造材、接合工具、制御システムなど、多くのサプライヤーが既に衛星産業での供給実績を持っている。軌道上組立が実現すれば、既存のサプライチェーンは大きく変わることが考えられる。単に「衛星本体の部品」供給に留まらず、「宇宙での組立に対応する部品仕様」の開発や、「ロボット作業に適した接合手法」の研究といった新たな要件が生じる可能性が高い。こうした技術開発の動きを注視しながら、自社の技術がどのように対応できるのか、またどの領域で競争力を発揮できるのか、今から検討を進める価値があると考えられる。
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Source:ESA
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