UK to Leave Launch to “Germany and Other Allies”
イギリス政府が公表した新しい宇宙戦略により、同国が「宇宙への確実なアクセス」の手段として、イギリス独自のロケット開発をあきらめ、ドイツ企業とアライアンスを組む方針が明確になった。スコットランドのSaxaVord Spaceportを拠点に、ドイツのロケット企業による打ち上げサービスに依存する戦略へと大きく舵を切ったのである。
イギリス政府はこれまで、自国内でロケットを開発・製造し、自国の土地から打ち上げるという「ブリティッシュ・ロケット」構想を掲げていた。2025年1月には、当時のテクノロジー担当大臣が「イギリスのロケットがイギリスの衛星をイギリスの土地から打ち上げる」と宣言し、Orbexという民間ロケット企業に投資をしていた。しかし同年12月までに、Orbexが経営危機に陥ったことが明らかになり、この構想は事実上破綻した。イギリス政府はこの失敗を経て、修辞を転換。複数の国家とのパートナーシップを通じて、宇宙へのアクセスを確保する方針へシフトしたのだ。
発表された宇宙戦略によると、その「複数の国家」の筆頭はドイツである。ドイツのRocket Factory Augsburg(RFA)はRFA ONEロケット、HyImpulseはSR75とSL1という各ロケット型機を、SaxaVord Spaceportから打ち上げることを約束している。RFAはSaxaVordの打ち上げパッドを排他的に使用する契約を獲得済みであり、イギリス政府も欧州宇宙機関(ESA)の欧州ロケットチャレンジ計画に対して相当額の資金をコミットしており、その一部はRFAに配分されている。つまり、少なくとも近い将来において、イギリス領土からの軌道到達打ち上げは、ドイツ製ロケットによるものとなることが確定的になったと言える。
これは、欧州のロケット産業における権力構造の大きな変化を意味している。イギリス政府はSaxaVordのような地理的・インフラ的資産を保有していても、実現に必要な技術とノウハウはドイツから調達せざるを得ないという現実が露呈した。また、イギリスはESAの資金の相当額の使途をまだ決めていない。この決断が遅延している背景には、ドイツなど既存パートナーへの追加配分か、他のプログラムへの流用かといった選択肢が複雑に絡んでいることが考えられる。
日本の部品・装置メーカーにとってこの転換は、ドイツのロケット企業へのサプライチェーン統合をさらに加速させるシグナルと見なせる。イギリスが自国開発を断念し、ドイツ企業への依存を明示した以上、欧州のロケット打ち上げ産業において、ドイツ系企業の影響力は今後さらに強まると想定される。日本企業がこの分野での存在感を維持・拡大するためには、ドイツ拠点のロケット企業との関係構築や、ESA配下のプロジェクトへの参加ルート開拓がより重要になってくると考えられる。
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Source:European Spaceflight
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