NASA Welcomes San Marino Signing the Artemis Accords
サンマリノがアルテミス・アコードの76番目の署名国となった。このアコードは月面やそれ以遠の平和的で秩序ある宇宙開発を推し進めるため、複数の国が共通のルールの下で活動することを約束した国際協力の枠組みであり、2020年にNASAとアメリカ国務省が主導して設立されている。
背景としては、ここ数年で月面活動への関心が急速に高まっていることがある。トランプ政権がNASAに対して月面への恒久的な基地建設を指示し、同時に民間企業も月探査事業への参入を加速させている。政府と民間の両者が月面を目指す中で、それぞれの活動が干渉し合わないようにすること、また国家間での秩序を保つことの重要性が高まったのだ。アルテミス・アコードはこうした課題に対応するため、5つの基本原則を掲げている。すなわち、平和的かつ透明性を持ち責任ある方法で探査を行うこと、他国から援助が必要な場合に支援する姿勢、科学データへのアクセス機会を開放すること、他の国々の活動に干渉しないこと、そして月面の歴史的に重要なサイトや人工物を保護するための方針を共有することである。
署名国が増え続けることが持つ意味は、宇宙産業のサプライチェーンの観点からも大きい。複数の国が同一の国際協力枠組みの下で月面での活動を開始するということは、それぞれの国が月面での探査、資源採掘、基地建設などに向けて本格的な投資と人的資源を投じることを意味する。科学的な機器やペイロード、各種の技術デモンストレーション、超小型衛星であるキューブサットなど、多岐にわたる機器やシステムが必要になる。こうした機器を設計・製造するためには、部品や素材、精密装置などの供給が不可欠であり、従来は限定的だった宇宙産業のサプライチェーンが、グローバルに急速に拡大していく可能性がある。一国だけでは実現困難な規模の宇宙開発プロジェクトが、国際協力により現実化する可能性が高まっているのだ。
国際協力枠組みへの参加国が増え続けることは、世界中の製造業者にとって新たな市場機会の拡大を意味する。特に部品メーカーや装置メーカー、素材メーカーのような川上産業にとっては、従来よりもはるかに多くの国々が月面向けの機器やシステム開発に投資することになり、その分だけ需要が生まれる可能性がある。ただし同時に、アルテミス・アコードが求める科学データの相互アクセスや各国間での協調といった国際的ルールへの対応が、従来の防衛産業などとは異なる形で必ず求められるようになる。複数国の規制要件を理解し、国際的なサプライチェーン構築に対応できる能力が、今後の国際競争力を大きく左右する重要な要素となると考えられるのだ。
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Source:NASA
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