NOAA purchases Spire hyperspectral microwave sounder data
NOAA(アメリカ海洋大気庁)は、商業衛星企業Spire Globalが開発したHyMS(ハイパースペクトラルマイクロウェーブサウンダー)というマイクロ波センサーのデータを活用する契約を延長した。300万ドルの6ヶ月間の契約で、数値気象予測の改善に向けた詳細な評価を行う予定だ。背景には、気象予報精度の向上が防災や気候変動対応に不可欠という認識がある。
気象衛星が気象予測に使用してきたマイクロ波センサーは、従来は広い波長帯域で観測する設計となっていた。この方式では大気の細かな層構造を捉える垂直分解能が制限されるという課題があった。HyMSはこの限界を突破するため、2000を超えるセンシングチャネルを備えた高周波数分解能のセンサーを採用している。広い帯域での観測ではなく、より狭く多数の周波数帯で観測することで、大気の細微な構造を詳細に捉えることが可能になる。また、マイクロ波観測は雲を透過するため、全天候条件での観測が実現できる。従来のセンサーでは観測が困難だった地域や気象条件でも、信頼性の高いデータが得られるようになると考えられる。
Spire Global社は2024年1月にHyMSのデモンストレータ衛星を打ち上げた。これまで半年以上運用されるなか、軌道上で高品質のハイパースペクトラルマイクロウェーブデータの収集が可能であることが実証されてきた。NOAAが今回6ヶ月間の契約延長を決めたのは、このデモンストレーションの初期成果が期待値を満たしたからである。延長期間中は、四季を通じた多様な大気条件下でセンサーの性能を詳細に評価し、既存の気象観測システムとの組み合わせによる効果を検証する予定だ。ラジオ周波数干渉への耐性も確認されており、商用化に向けた技術的課題がクリアされつつあることが窺える。
NOAAがこの技術に投資を続ける背景には、商業衛星が気象観測の重要な基盤になりつつあるという戦略的判断がある。Spire CEOは「スケーラブルな商業コンステレーション」による観測実現に言及しており、単一衛星のデモンストレーションから複数衛星群への展開を想定している。商業企業が開発した衛星技術が、公的な気象機関の基盤データ補完層として機能する時代が確実に近づいている。またNOAAは、この契約に加えて、さらに3ヶ月分のデータ供給に200万ドルを充てるオプション契約も保有している。
日本の宇宙関連産業にとって、この動きは新しい需要領域を示唆している。ハイパースペクトラルセンサーの小型化・軽量化技術、衛星搭載用電子部品の耐放射線設計、高周波信号処理モジュールなど、商業コンステレーション向けの部品・装置開発が今後の競争領域になる可能性が高い。また日本国内でも、NOAA同様に公的機関が商業衛星データの本格活用を検討する動きが進むとみられ、気象・気候観測向けの部品サプライチェーンが一層重要性を増していくと考えられる。
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Source:SpaceNews
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