ESA Selects Airbus and OHB to Lead European Space Station Studies
欧州宇宙機関(ESA)は国際宇宙ステーション(ISS)の運用終了後、低軌道に欧州主導のステーション建設を目指す可行性調査をエアバス・デフェンス&スペースとOHBの2社の領導するコンソーシアムに委託することを9月29日に発表した。2社以外にも6社の産業・機関パートナーが参加するとされているが、詳細は明かされていない。この決定は、宇宙飛行における欧州の自立性確保を狙った戦略的な選択であり、世界の宇宙産業における欧州の位置付けと役割を根本的に再定義する可能性を秘めている。
ESAが検討する低軌道での欧州プレゼンスは3つのシナリオに分かれている。第1案は商業インフラをほぼ外部調達に依存する最小限の案、第2案は既存の商業ステーション計画への限定的な欧州側の貢献を想定する案、そして第3案が今回の調査対象である欧州主導のステーション構想である。このシナリオ3では、国際パートナーや民間企業も参加可能な枠組みが想定されており、欧州が一定程度の主導権を保ちながら開放的な構想となっている。ESAが調査チームに要求したのは、既存の欧州宇宙技術の徹底的な活用である。具体的には、ISSに搭載されたコロンバスモジュールの設計思想や、エアバスが製造し現在運用中のオリオン宇宙船用サービスモジュールなど、実績のあるシステムの知見を最大限に応用することが指示されている。
開発費の上限は、3年間のサイクルごとに10億ユーロ以内と設定され、開発期間も最大で2サイクル、つまり6年という枠が引かれている。この極めて厳格な制約条件は、技術的な野心と財政的なリアリズムのバランスを取るというESAの方針を明確に示すものである。加盟国がこの欧州主導の構想を最終的に支持するかどうかはまだ未定だが、この調査自体が、人間宇宙飛行における欧州の主権と技術的な自立性を高めたいというESAの広範で強い意志を反映している。
この動きの背景にあるのは、2026年9月にパリで開催された国際宇宙サミットでの加盟国の判断である。そこで採択された欧州宇宙探査強化の指針では、ISS後の低軌道でのアクセス確保が、月面探査の進展やそれ以遠の火星ミッション準備と並んで、欧州が優先的に取り組むべき3つのコア事項として明確に位置付けられた。ESAは12月15日にローマで開かれる予定の中間閣僚会合において、この指針に基づく具体的な提案を加盟国に示すことになっており、その後の決定手続きと予算配分の交渉が進む見通しである。
日本の製造業、特に宇宙関連部品やシステムのサプライヤーにとって、欧州のこうした動きは戦略的に重要な注視対象である。欧州が独立したステーション構想を推進すれば、モジュール化された構造体から推進システム、電力供給装置、通信・制御システムなど、極めて多くのサブシステムと高度な部品が必要となることが予想される。既に欧州の主要メーカーとサプライチェーンを構築している企業にとっても、新規参入を検討している企業にとっても、欧州宇宙産業の中期的な方向性と技術戦略を正確に理解することは今後の投資判断・事業計画の策定において不可欠な要素となりつつあるのである。
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Source:European Spaceflight
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