Three Earth Explorer candidates go forward
ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は、地球観測衛星「Earth Explorer」の第12号候補として、3つのミッション概念を次の開発段階に進めることを決定した。ECO、Keystone、CryoRadの3案件がこれ以降、詳細な技術・科学検討を受けることになり、最終的に1つが2036年頃の打上を目指す。
3候補のうち、最優先された「ECO」は、地球全体のエネルギー不均衡(EEI)を観測することを目標としている。EEIは気候変動がもたらす地球的な温暖化の影響を定量的に理解するうえで、従来から指摘されてきた最大の知識ギャップであり、気候対策の効果測定にも不可欠とされる。ESAは科学的な重要性を優先し、この非常に技術的難度の高いECOミッションをさらに詳細に検討する機会を与えることを決めた。次点の「Keystone」は、高度50~250キロメートル帯という人類が依然として十分に理解していない大気層において、酸素原子の全球観測と気温・風などの同時測定を実現する。副次的な応用として、スペースデブリが地球大気に突入する際に放出される金属成分の検出も可能で、今後指数関数的に増加すると予測されるデブリ問題への対応にも寄与する。第3の「CryoRad」は極地の氷床内部の温度と基盤条件を直接測定し、氷床力学の理解向上と将来の海面上昇予測の精度向上を目指している。
これら3ミッションの選抜は、ESAの「FutureEO」という地球観測戦略の枠組みで進められている。Earth Explorer一族は2009年の初号機打上以来、常に設計寿命を超えて機能し続け、公開・無償のデータ政策によって利用者コミュニティを拡大させてきた実績がある。高度で新規な技術開発と堅牢な設計による延命が、同プログラムの特徴である。
日本の部品・装置・素材メーカーにとって、ESAの衛星ミッション進行は部品供給やサブシステム提供の直接的な機会となるとともに、宇宙インフラの長期的な成長トレンドを形作る動きでもある。特に観測機器の高精度化、大気圏再突入時の金属成分監視技術など、衛星搭載センサーと周辺部品の信頼性・耐久性に対する要求が高まることが予想される。ESAの公開データ政策によって下流の応用開発が進むことで、中長期的には宇宙観測産業全体の市場拡大につながる可能性があり、その過程で国際協業の機会が増加していく見込みである。
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Source:ESA
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