NOAA、米Cowboy Spaceと軌道上でのデータ処理を試験へ 気象予報向けデータ提供の迅速化を検証
イメージ 2026年10月20日、NOAAの国家環境衛星データ情報局(NESDIS)は、軌道上データセンター構想を掲げる米Cowboy Spaceと2年間の共同研究開発契約(CRADA)を結んだと発表した。環境衛星データを宇宙で処理し、予報担当者がデータを使えるまでの時間を短縮できるかを確かめるのが狙いである。
Cowboy Spaceは、生データをすべて地上に送るのではなく、AIを使って軌道上で処理し、品質の高い重要な結果だけを地上へ送る衛星コンステレーションを開発している。今回の試験では、同社が全額自己負担で製造・打ち上げ・運用する「Reason-2」(2027年打ち上げ予定)を使う。NOAAは既存のオープンソースAIモデルと、極軌道衛星システムJPSSに搭載された可視赤外撮像放射計(VIIRS)の過去の生データを提供し、処理後のデータの品質と将来の運用への活用可能性を評価して報告書にまとめる。同社は10月1日に初号機「Reason-1」も打ち上げており、今後数カ月かけて宇宙から地球へ太陽エネルギーを届ける実証も予定している。
注意すべきは、今回の試験で処理されたデータがNOAAの気象予報業務には使われない点である。この段階は実運用に向けた道筋を探る検証であり、すぐに業務の進め方が変わるものではないと考えられる。Cowboy Spaceの創業者兼CEOであるBaiju Bhatt氏は、一連のミッションを軌道上データセンターに向けた第一歩と位置づけているが、その実現性は今後の評価次第である。
宇宙産業全体にとって、衛星が集めたデータを大量に地上へ下ろすのではなく、軌道上で絞り込んで送るという方式が検証されることの意味は小さくないと考えられる。通信の負担を抑えつつ、必要な情報を速く届けられる可能性があるためだ。この考え方が広がれば、衛星の設計段階から演算機能を組み込む発想が強まり、演算装置やそれを支える電源・熱対策の重要性が高まる可能性がある。
日本の製造業・部品サプライヤーの視点では、軌道上で演算を行う衛星に向けて、放射線に耐える電子部品、限られた電力で効率よく動く処理基板、宇宙空間で発生する熱を逃がす放熱部品、打ち上げ時の振動に耐える構造部材などの需要が生じる可能性がある。ただし、現時点で市場がどの程度広がるかを示す材料はない。まずはこうした部品の信頼性を、軌道上データ処理の要件に合わせて示せるかが参入の鍵になると考えられる。
※ 内容の紹介はここまでです。続きは元記事をご覧ください。
出典:Space Media