Stars make oxygen for small galaxies, but they lose most of it
ハッブル宇宙望遠鏡のデータを使った研究で、調べた37個の矮小銀河はいずれも、恒星が一生の間に作ったと見積もられる酸素の一部しか保持していないことが分かった。保持率は4%から25%の範囲で、平均は約11%である。研究成果は天体物理学の専門誌『The Astrophysical Journal』に掲載された。
酸素は水素とヘリウムに次いで宇宙に多い元素で、地上の望遠鏡でも特定の色の光を分けて測定しやすい。そのため、恒星が作る元素が銀河の中でどう移動するかを追う手がかりとして使われている。研究チームは、恒星が作った酸素の推定量と、恒星・ガス・塵に残っている量を比べた。その差から、酸素は銀河の外へ流れ出たと考えられる。原因として挙げられているのは、大質量星や超新星爆発のエネルギーでガスを外へ吹き出させる「銀河風」である。現在の計算機シミュレーションが予測していたより、銀河風が酸素をより効率よく取り除いている可能性がある。一方で、流出した酸素が銀河の周囲のガス雲に留まっているのか、銀河の間の空間まで移動したのかは、まだ分かっていない。過去の研究では、天の川に似た銀河で酸素の多くが本体から出ていることが示されていたが、小さな銀河での全体像は十分に分かっていなかった。
この成果は、銀河がどのように変化し、恒星が作った元素がどこへ広がるのかという基礎的な理解に関わる。今回の観測は、近くにある37個の銀河の恒星を個別に見分けられたことで成り立っている。大半の矮小銀河はもっと遠く、恒星が光の塊として重なって見えるため、同じ方法では調べにくい。つまり、宇宙の物質の流れを解明できるかどうかは、望遠鏡の分解能や検出の精度に大きく左右される。宇宙産業の観点では、直接の市場や事業への影響はまだ見えにくいが、こうした観測の高度化が次の大型観測計画の必要性を裏付けていくと考えられる。
日本の製造業にとって、この研究が直ちに受注や製品仕様に結びつくわけではない。ただ、観測の精度を支えるのは、望遠鏡の光学系、検出器、冷却機構、精密な構造部品といった地上や宇宙で使われる機器の性能である。今回取り上げられたハッブル宇宙望遠鏡や、新たに打ち上げられたナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のような装置も、高い精度の部品と製造技術の積み重ねで成り立っている。今後の観測計画が広がれば、部品や装置の高精度化への需要が生まれる可能性があると考えられる。ただし、本記事は観測結果を報じたもので、具体的な装置開発や調達計画には触れていない点は押さえておく必要がある。
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Source:Phys.org
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