How to keep the Earth habitable when the sun dies
太陽が巨大化して地球環境が失われる一〇億年後の時代でも、地球上の生命を守り続ける方法が提案された。太陽の光を遮り、宇宙での資源採掘をもとに人工的に地球を守る、という壮大な計画である。
この研究は、太陽の終末に向けた対策を段階的に構想している。第一段階は光の遮蔽である。太陽と地球の間の重力均衡点(ラグランジュポイント1)に大型の日光遮蔽装置を配置することで、拡大した太陽を日食のように隠す。さらに効率を高めるため、矮惑星セレスから採掘した炭素製のケーブルと月から採掘したアルミニウムを用いて、より大きな遮蔽装置を月の外側に配置する構想である。次に失われた太陽エネルギーの代替として、木星で核融合発電を行うという。木星の大気深部に建設された融合炉がヘリウム-4と水素を吸入してエネルギーを生成し、そのエネルギーはレーザービームで地球表面に伝送される。これにより、太陽が失われた後も九・一京年分のエネルギーが確保される可能性がある。木星の大気自体が核融合の燃料になるという発想は、太陽系の資源の効率的な活用をもとにしている。
同時に地球も移動させる必要がある。太陽が膨張しても地球が飲み込まれないよう、小惑星の重力を利用した弾き飛ばし効果を繰り返して軌道を広げる方法が提案されている。より安全な方法として、木星から採掘した酸素をビーム状に地球に向けて発射し、その反発力で地球を遠ざけるというものだ。このビームの質量はアマゾン川の流出量の半分に相当するとされており、万が一ビームが地球に直撃しても雷嵐のような程度のエネルギーであるため環境への影響を最小化できる。さらに地球の内部熱を維持するため、反物質を地殻に送り込んで消滅させることで中核部を加熱し続ける計画もある。一日二キログラムの反物質を投入することで、地球の大陸移動や生命を支える栄養循環を保ち続けることができると考えられている。超長期的には、四五億年後のアンドロメダ銀河との衝突に備えて、水素ビームを用いて太陽系全体を移動させることまで想定している。
こうした計画の実現性について、研究者らは慎重な評価をしている。星間移住よりも千倍から百万倍も低いエネルギーで実行可能であり、宇宙での資源採掘インフラをそのまま転用できるという現実性を持つと考えられる。セレスの四〇パーセント、月の〇・〇一パーセントという採掘量も、実現可能な規模の範囲内だと考えられている。また、地球の定着性を保つため日々の管理が必要だが、システム全体の維持は十分に可能と見なされている。他の惑星への移住計画とは異なり、テラフォーミングの準備期間を待つ必要なく、すぐに経済的な恩恵を得られる点も重要である。
日本の部品・素材メーカーにとって、この研究の意味は遠い未来への警告ではなく、現在の宇宙開発技術の延長線上に何があるかを示している。ラグランジュポイントでの構造物建設、極限環境での機器動作、木星のような過酷な大気環境での長期運用技術、反物質容器や遮蔽材料の開発—これらは現在進行形の宇宙ミッションで求められている信頼性・耐久性・精密性と本質的に同じ課題である。月面基地やサンプルリターン、火星探査といった現在の計画は、こうした超長期的な地球保護システムの技術的な基礎となるものだ。宇宙産業が進展するにつれ、こうした要素技術の需要は確実に増えていく。今この時点での技術開発が、遥かな未来でも地球を支える基盤になるとも言えるだろう。
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Source:Phys.org
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