Rigorous Analysis Confirms NASA’s Artemis II Heat Shield Performance
NASAの月周回有人飛行「アルテミス2号」で、オリオン宇宙船の耐熱シールドが事前の予測どおりに機能したことが、詳細な解析によって確認された。4人の宇宙飛行士は無事に地球へ帰還しており、有人月面着陸に向けた土台がひとつ固まった形である。再突入時の最高速度は音速の39倍に達し、外部温度は4,000華氏度を超えたが、船内は華氏70度台半ばに保たれた。
前回のアルテミス1号では、耐熱シールドにひび割れや炭化層の欠落が見つかっていた。NASAはカリフォルニア州のエイムズ研究センターで行ったアークジェット試験などの結果を踏まえ、アルテミス2号の再突入軌道を変更した。大気圏に入ってから太平洋に着水するまでの最大水平距離を短くし、耐熱材が問題の出た温度域に留まる時間を減らす狙いだった。その結果、ひび割れと炭化層の欠落は前回の十分の一程度に抑えられ、炭化層の欠落箇所は前回の103か所に対して9か所にとどまった。着水直後の潜水員による撮影や回収船での点検でも、同様の傾向が確認されている。耐熱材は「アブコート」というアブレーション材で、186枚のブロックに分けて貼られている。
この結果が示すのは、材料そのものを変えなくても、飛行の設計を工夫することで損傷を大きく減らせたという点だ。ブロック同士の継ぎ目や固定ボルト周りの処理も前回と同様に機能しており、設計の再現性が確認されたとも読める。耐熱シールドの性能は、飛行後の解析で分かるだけでなく、設計と製造の両方が一貫していることの証明にもなる。NASAはアルテミス3号に向けて、アブコートのブロックの均一性と透過性をそろえる改良を加えたとしている。機体の組み立ても進んでおり、次の段階の準備は着実に進んでいるようだ。
耐熱材の性能は、材料の均質性や継ぎ目の施工精度によって大きく左右される。今回NASAが強調した「ブロックの一様性」は、材料を作る側や加工する側に対して、ロットごとのばらつきや寸法精度をいっそう厳しく管理するよう求める流れにつながる可能性がある。また、再突入後にレーザーで表面を計測し、試験前のデータと比べて材料の後退量を評価する工程は、計測・検査機器への需要を生むことも考えられる。宇宙機向けの部材は求められる精度が高く、一度の施工ミスが大きな手戻りになりやすいとも考えられる。
日本の製造業にとっては、耐熱材料の成形や加工、ブロック状部材の寸法管理、タイル状部材の取り付け精度、X線による内部検査、三次元計測などが関わりどころになりうる。ただし元記事はNASAの試験と解析の結果を報じたもので、日本の企業がどの工程に関われるかには触れていない。まずは材料特性と検査の要求水準を把握し、自社の工程に当てはめて考えることが現実的だと考えられる。
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Source:NASA
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