NASA Awards Enable Research, Technology to Build Future Workforce
NASAは米国の12の教育研究機関に総額1200万ドルを配分し、月・火星・深宇宙探査に向けた学術研究と技術開発を加速させる。対象はMUREP(マイノリティ大学研究・教育プロジェクト)の一環であるM-STAR(アルテミス研究)の採択機関で、各機関には最大100万ドルが供与される。資金の使途は、研究機関の科学・工学の能力強化、教員と学生の航空宇宙研究への参加拡大、そして今後の連邦・商業研究の公募に応募できる力の向上とされている。
背景には、アルテミス計画で月面に長期間滞在する運用と、その先の火星有人探査に必要な技術の不足を埋めるという狙いがある。MUREPの担当者は、大学への投資が学生と教員の技能や研究基盤を育てると同時に、NASAが長期運用に向けた技術ギャップを解消する助けになると説明している。採択案件を見ると、月の砂(レゴリス)を極低温条件で評価する研究、極限環境で使える電池と燃料電池、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)で強化した複合材による原子力熱推進(NTP)関連部品、推進系部品の銅と超合金の接合部を指向性エネルギー堆積で補修する研究など、材料と製造工程に直結するテーマが並ぶ。
宇宙産業にとっての意味は、探査に求められる技術の水準が変わりつつある点にあると考えられる。月や火星での活動では、一度動けばよいという試作段階ではなく、放射線、極低温、水素などの過酷な環境で長期間壊れずに機能することが問われる。今回の研究が扱う材料や補修技術は、推進系、表面インフラ、ローバーの機構、エネルギー系の要素技術として、将来のNASAや民間企業の開発仕様に組み込まれていく可能性がある。加えて、研究資金を得られる大学の層が広がることは、長期的に技術と人材を支える裾野を厚くする効果があると見られる。一件あたりの金額は大きくないが、こうした基礎段階の投資が後の調達や量産の土台になりうる点は見逃せない。
日本の製造業にとっては、今回の助成の対象が米国の機関である点を前提として押さえる必要がある。そのうえで、ここで挙がった課題、すなわち極低温や放射線環境での材料特性、異種金属の接合、指向性エネルギー堆積による補修、極限環境向けの電池の耐久性は、日本の部品・素材メーカーが強みを持つ分野と重なる。材料データや試験片の提供、接合条件の検討、耐環境試験の受託といった形で、海外の大学や研究機関との共同研究に関わる余地が考えられる。ただし海外との取引では輸出管理や技術情報の扱いに関する確認が前提となる可能性が高いため、関与を検討する段階で社内の法務や貿易管理の体制を整えておくことが望ましい。
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Source:NASA
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