UchUchU
宙畑 #日本の宇宙開発

SSA(宇宙状況把握)とは〜日本の防衛省と国際状況、企業の貢献、技術課題、運用システムを総合的に解説〜

イメージ

2007年の中国による衛星破壊実験や2009年のイリジウム通信衛星との衝突事故に加え、SpaceXのStarlinkをはじめとしたコンステレーション衛星の登場により、現在の宇宙空間には大量の宇宙物体が存在している。NASA軌道デブリプログラムオフィスによると、地球低軌道上の直径10センチ以上の宇宙物体のうち、衛星などが2022年時点で約3分の1を占めており、さらに小型のデブリまで含めるとその総数は膨大である。こうした状況の中で、宇宙ステーションから地球観測衛星、通信衛星に至るまで数千を超える衛星が常に衝突破損のリスクにさらされており、衝突の可能性がある場合は運用者同士が協議して軌道変更による回避を実施している。

このような衝突リスク評価とデブリ回収を可能にする基盤技術が、宇宙状況把握(SSA)である。 SSAの定義は国際的に統一されておらず、日本の宇宙基本計画では「宇宙物体の位置や軌道等の情報を把握する宇宙状況把握」と定義されている。一方、国際宇宙航行アカデミーと米国の宇宙政策大統領令3号では、デブリや衛星の検出・追跡・識別・カタログ化に加え、宇宙天気監視と宇宙機のモニタリング、ならびに安全で安定的かつ持続可能な宇宙活動をサポートするための宇宙物体の特性把握として定義している。

SSAの利用目的は三つに分類される。第一は宇宙空間の安全確保であり、デブリや衛星の監視を通じて衝突警告と軌道計画の修正を実施する。第二は防衛・安全保障関連で、軍事衛星や他国の宇宙物体の位置情報と活動状況を把握する。

第三はプラネタリー・ディフェンス(地球防衛)で、地球接近小惑星などの天体衝突を検知し災害を防ぐ活動である。 SSAの運用システムは観測・解析・プラットフォームの三層で構成されている。観測システムは、宇宙物体の高度や大きさに応じて異なる機器を採用する。

高度200~1000キロメートルの低軌道観測にはレーダが使用され、天候や日光の影響を受けず複数の情報を得られる利点がある。静止軌道観測には地上設置型光学システムが主流で、コストが低いものの昼間や悪天候時に制限される。これを補うため、雲・大気の影響を受けにくい宇宙設置型光学システムも運用されており、米国のGSSAP衛星やカナダのSapphire衛星などが該当する。

さらに電波望遠鏡では、衛星が発する電波から距離を算出して軌道正確性を向上させるシステムも注目されている。加えて宇宙天気モニタリングにより、太陽風による磁気圏環境の変化を把握し、衛星や電子機器への悪影響を予測する。これら複数の観測機器から得られたデータは解析システムで処理され、接近警告やマヌーバ計画が提案される。

全世界に点在する観測網を統合運用することで、初めて包括的な宇宙物体の把握が実現される。 宇宙空間の利用が急速に拡大する中で、SSAは今後ますます重要性を増していく。衛星の衝突回避から防衛・安全保障、さらに惑星防衛に至るまで、多方面でSSA能力の強化が求められている。

こうした背景から、国内外の政府機関のみならず民間企業もSSA技術の開発と運用に参入し始めており、官民が連携したSSAシステムの構築が進められている。データの精度向上と観測網の充実は、安全で持続可能な宇宙利用環境の実現に不可欠であり、今後の宇宙産業全体の発展を左右する要素となるだろう。

※ 内容の紹介はここまでです。続きは元記事をご覧ください。

出典:宙畑

この分野の企業を探していますか?

UchUchUは宇宙産業に関わる日本企業をデータベース化しています。参入検討・取引先探索にお使いください。