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日本の火星衛星探査機「MMX」について知っておくべきこと

日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が火星の衛星フォボスへの着陸を目指す探査機「MMX」を2026年10月20日に打ち上げることを発表した。本体を火星圏へ往復させ、フォボスから採取した10グラム以上のサンプルを2031年度に地球へ持ち帰ることが最終目標であり、火星衛星からのサンプルリターンとしては世界初となる。日本にとっても1998年の「のぞみ」以来、28年ぶりとなる火星探査機の打ち上げだ。

火星の衛星フォボスの起源については、火星への天体衝突で放出された物質から形成されたという「巨大衝突説」と、太陽系外縁から飛来した小惑星が火星に捕獲されたとする「捕獲説」の2つの仮説が存在する。どちらが正しいかは現時点で確定していないが、いずれの説でも過去の隕石衝突によって火星表面から吹き飛ばされた物質がフォボスの表面に長年降り積もっていると考えられている。採取予定のサンプルのうち0.1%程度が火星由来と推定される。MMXはシステム設計と製造を三菱電機が主導し、IHIエアロスペースが推進装置、明星電気が観測機器、川崎重工業がロボットアームとサンプルリターンカプセル、千葉工業大学がレーザー高度計とダストモニターを担当する。打ち上げ質量4,480キログラムのうち半分以上が推進剤だ。

地球とMMXの間に4〜20分の電波遅延が生じるため、降下・着陸・離陸をすべて探査機の自律航法で実行しなければならない。加えてフォボスの重力は月の約300分の1と極めて小さく、長時間のホバリングは推薬量の観点で成り立たない。この課題に対しJAXAは高精度な自律航法を搭載し、高度2キロメートルから300メートルでクレーター地形を照合し、その後テクスチャー情報でピンポイント誘導する2段階方式を採用した。本体着陸に先立ち、フランスとドイツの宇宙機関が共同開発した重さ約23キログラムのローバー「IDEFIX」を先行投下し、約100日間の独立探査を実施する。

サンプル採取には5軸の関節を持つロボットアームとコアラー機構を組み合わせた装置を用いる。弾丸撃ち込み方式の「はやぶさ2」と異なり、地表に筒を刺して深さ2センチメートル以上の物質を採取する方式だ。加えてアメリカ航空宇宙局(NASA)の「ニューマティック方式」による窒素ガス吹き付けも搭載している。採取機器は有機溶媒と超純水で精密洗浄され、探査機全体も清浄度の高いクリーンルームで管理されてきた。

火星からのサンプルリターン計画として中国の「天問3号」もあるが、その対象は火星本体であり、フォボスを狙うMMXとはミッション内容が異なる。欧米においても火星衛星からのサンプル採取を実施段階まで進めた計画はなく、MMXに直接の競合相手はいない。本ミッションはNASA、フランス国立宇宙研究センター(CNES)、ドイツ航空宇宙センター(DLR)、欧州宇宙機関(ESA)が参加する国際共同体制で進められており、日本の製造業・部品サプライヤーにとって、こうした最先端の宇宙探査プロジェクトへの参加は、極限環境での高精度加工や高信頼性設計といった技術蓄積の機会となり得る。

※ 内容の紹介はここまでです。続きは元記事をご覧ください。

出典:WIRED.jp

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