Canadian MDA Space Secures €64 Million IRIS2 Antenna Agreement
カナダのMDAスペースが、欧州連合(EU)の安全保障向け衛星通信網IRIS2の第1層(最初の66機)に向けたデジタルアンテナ開発について、タレス・アレニア・スペースと合意した。初期契約の金額は1億カナダドル(約6418万ユーロ)超とされるが、衛星全体の作業範囲をカバーする正式契約はまだ確定していない。
背景として、第1層の他の主要要素はすでに発注が進んでいる。9月にはエアバス・ディフェンス・アンド・スペースが衛星バスの製造と機体の組み立てを担う企業に選ばれ、タレス・アレニア・スペースがKaバンド通信ペイロードの開発契約を得た。第1層の打ち上げは2029年に始まる予定とされる。残る282機についても、8月末にSESがドイツのOHBに中軌道(MEO)衛星18機のバス開発・製造を発注し(契約額はほぼ10億ユーロ)、9月10日にはベルギーのエアロスペースラボが低軌道(LEO)衛星264機の製造と組み立てで24億ユーロの契約を得たと発表された。今回のMDAの合意は、こうした機体の各要素の発注が進む流れの中で、通信の要であるアンテナ部分を埋める動きと位置づけられる。さらに10月30日、カナダとEUは衛星通信の協力を強める方向で、IRIS2へのカナダの参加の枠組みについて探索的な協議を始める計画を共同声明で示した。
この動きが宇宙産業に持つ意味は、主契約が次々に決まり、機体の各要素が複数の企業に分担される段階に入ったことである。衛星の通信性能を左右するアンテナは、衛星バスやペイロードと並んで設計と調達の中核を担う。デジタル式フェーズドアレイアンテナは多数の素子を電子的に制御してビームを向ける方式であり、素子数や精度が増えるほど、高周波部品や制御電子回路、熱の処理への要求が高まると考えられる。一方で、正式契約が未確定である以上、仕様や分担の最終形は今後の交渉次第であり、現時点で断定はできない。大規模なコンステレーションでは、一社の能力だけでなく、国や企業をまたぐ調達網の安定性も重要になる。また、EUがどの国の企業をどの範囲で受け入れるかは、今後の協議で具体化していくものと考えられる。
日本の製造業・部品サプライヤーにとって、ここから読み取れることは二つある。一つは、衛星通信向けの高周波部品、導波管や筐体、精密加工部品、熱設計に関わる材料などで、今後の需要が生まれる可能性があることだ。もう一つは、EUとカナダの協力の枠組みが具体化すれば、欧州や北米の主要企業のサプライチェーンに参入する窓口が広がる可能性があることである。ただし、現段階は協議の初期段階であり、日本企業が直接関わる機会がどの程度になるかは元記事では示されていない。まずは自社の製品が衛星向けの品質要求や認証にどこまで対応できるかを整理し、IRIS2の発注の動きを継続して追うことが現実的な第一歩になるだろう。
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Source:European Spaceflight
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